免疫分析におけるプロゾーン現象・ポストゾーン現象・フック現象とその対応

2017年5月3日水曜日

血液学的検査 生化・免疫学検査 輸血検査

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プロゾーン現象の原理

免疫検査によく使用されているラテックス凝集法・比濁法は液相中において抗原物質に特異的な抗体をコーティングしたラテックス粒子を用い、抗原物質を検出する測定系です。免疫複合体の形成によりラテックス粒子が凝集する性質を応用し、目測定を行う検出方法です。

ラテックス凝集法・比濁法メリット

①各種汎用の大型自動分析装置で定量測定が可能
②目視判定による定性判定が可能
③試薬コストが比較的安価である

ラテックス凝集法・比濁法デメリット

①専用装置を必要とする場合がある
②単位として、μg/mL~ng/mLの感度である③溶血、乳び、ビリルビン血漿等の色のついた検体により測定値が影響を受ける事がある
④自動分析装置の反応セルを汚染する場合がある
③は特に凄いのが、免疫分析装置で専用の機械が必要な検査項目が日々の技術の進化伴って汎用分析器での測定が可能となっています。代表すべき項目としてはミオグロビン、梅毒血清反応、フェリチンやインスリンまで製造販売されています
とりわけ免疫比濁法やラテックス免疫比濁法を原理とする試薬薬を利用する場合プロゾーンに注意せねばならない。
これは抗原抗体反応において,抗原または抗体のどちらか一方が過剰のために反応が抑制される濃度領域が現れることを,地帯現象(zone phenomenon)といい,抗体過剰による反応抑制領域を前地帯(prozone),抗原過剰による場合を後地帯(postzone)といい高抗体価の検体ではプロゾーン現象と呼ばれる沈降反応や凝集反応を用いる検査でみられる偽陰性反応が生じることがあります。フック現象という現象が認められる。酵素免疫測定法で固相表面に抗原分子が最大量結合してしまうと、それ以上は結合出来なくなり検量線は抗原過剰域で少しピークから下がり気味になることに由来する。要するに抗原量が多いにもかかわらず偽陰性化します。特にイムノクロマト法による検査は、特にプロゾーン現象が発現しやすいのが特徴です

プロゾーン現象への対応

・ プロゾーン対応品の試薬への切り替え
・ 汎用分析装置の設定、自動希釈再検の設定(測定上限の設定)
・ プロゾーン現象の有無を確認(プロゾーンチェック)す
認められた場合の対応
臨床症状と検査値との乖離がみられる場合には希釈検体を使用し再検査するなどの検討を要します
個人的経験則では、分析機器でプロゾーンの確認がしたい場合は使用している試薬メーカーに言えば検討用のサンプルやデータなどは手配していただけるはずなので一度営業担当の方に相談されてみてください。
どれと、プロゾーンが起こった場合その検体は後の検討用として保管しておいた方が良いです。

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