臨床検査におけるキャリブレーションと検量線とは
そもそもキャリブレーションとは校正(Calibration)の事を指し、分析機器を用いた試料を測定前する前に、標準物質を測定して分析機器の正確性を保つ作業です。臨床検査での分析では生化学的比色分析を例に例えると既知の濃度の物質の吸光度を測定します。これと検体の吸光度比べることで検体の濃度を求めることが出来る訳です。
これをグラフ化したものが検量線となり検量線には2点検量線と多点検量線があります
・2点検量線 1個の既知濃度の標準物質と試薬ブランクより作製された直線(酵素・キレート法)
・多点検量線 複数個の既知濃度の標準物質より作製された直線・曲線でラッテクス凝集法や免疫比濁法に多く採用される(CRP,RPR、TPLA、)
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標準物質の種類
製 品 名
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規 格
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形態
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メーカー名
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定価(円)
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酵素キャリブレ-タ-プラス
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1ml×6
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凍結
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シスメックス,第一化学,
ニットーボー、ヤトロン,デンカ生研,
セロテック,栄研化学,協和メデックス
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13,500
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酵素キャリブレ-タ-
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3ml×4
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凍乾
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和光純薬
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12,000
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トレ-スキャリブ
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1ml×3
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凍結
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関東化学
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7,000
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Aalto
ControI
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5ml×1
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凍乾
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シノテスト
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1,800
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酵素キャリブレ-タ
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3ml×2
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凍結
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ニット-ボ-
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5,600
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酵素キャリブレ-タ
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3ml×4
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凍結
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カイノス
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14,400
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C-fas
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3 ml×12
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凍乾
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ロシュ・ダイアグノスティックス
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11,000
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ネスコ-ト酵素標準Ⅱ
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2 ml×5
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凍乾
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アルフレッサ
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14,000
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キャリブレ-タE
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3 ml×5
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凍乾
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ミズホメディ-
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27,500
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キャリブレーション手順
“引用 愛知県臨床検査値統一化ガイドライン”1. CRM による濃度項目の校正:CRM で検量する方法
① 現在使用しているパラメ-タ-をプリントアウトするか、フロッピ-に保存する。② キャリブレ-タ-のSTD 値にCRM の表示値を入力する。
③ キャリブレ-タ-のポジションに、CRM をセットする。
④ キャリブレ-ションを行う。
⑤ CRM を検体として3 重測定し、平均値が許容幅に入っていることを確認する。
⑥ 日常使用しているキャリブレ-タ-を5 重測定し、平均値をキャリブレ-タ-の値とする。
⑦ キャリブレ-タ-のSTD 値に⑥で決まった値を入力する。
⑧ 入力した値で日常使用しているキャリブレ-タ-で検量し、測定値の確認作業を行う。
2. CRM による濃度項目の校正:補正係数を利用する方法
① 現在使用しているパラメ-タ-をプリントアウトするか、フロッピ-に保存する。② CRM を検体として5 重測定する。
③ 5重測定の平均値と表示値から補正係数を求める。補正係数(F)=表示値/平均値
④ 求めた補正係数により、キャリブレ-タ-の値を補正する。
補正したキャリブレ-タ-の値=現在のキャリブレ-タ-の値×補正係数(F)
⑤ 補正したキャリブレ-タ-の値を分析装置の取り扱い説明書に従い入力する。
色々とありますがキャリブレーションの手順は施設にある分析装置のマニュアルにしたがって行ってください
生化学を担当して一番やってしまいがちなのは試薬を覚えないといけないので
間違えてコントロールでキャリブレーションをとってしまった方も少なくないのでは?
キャリブレーターは標準物質、コントロールは管理試料であり、あくまでも用途が違います。
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キャリブレーションの評価
またキャリブレーション後は標準物質の打ちかえしもを測定します標準品(CRM,ERM,検量用ERM)の測定:CRM,ERM,検量用ERM を測定試料として5重測定し、その平均値が表示値の許容幅に入っていることを確認する。
基本的に正確性の確認なのですがここで注意が必要なのが、キャリブレータ―の調整ミスや表示値の記入ミスがあった場合はこの段階では気づきません。このため同時にコントロールも測定しておくと良いと思います。
試料濃度算出の考え方
既知濃度のAの時の吸光度をBとするとA=B×KとなるK=A÷Bとなる → 分析装置で使用するファクター値
検体濃度nの時の吸光度Dとすると
n=D×Kとなり濃度を求めることが出来る
※D=試料の吸光度-試薬ブランク
注意すべき点として日本電子の機器のキャリブレータ―は試薬ブランクが
引かれた値が表示される
キャリブレーションの必要なタイミングは?
キャリブレーションは試薬のロット変更時や特定のサイクルにて行う。キャリブレーションの影響を与えるもの
キャリブレーションは様々な要因により影響を受ける。
① 測定誤差による影響
・吸光度に比例した誤差(血清量・試薬量のバラつき)
・機器の測定誤差
・試薬ブランクのずれ、反応セルの汚れ
②標準液・試薬による影響
・試薬・標準品の劣化
・製造ロットの違い
測定値がおかしい場合は原因の解明を先に行ってから再度キャリブレーションを行うべきである。
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