ABO式血液型検査と検査手技と緊急時輸血の考え方

2017年5月12日金曜日

輸血検査

t f B! P L

ABO式血液型検査とは

血液型には200種類以上あることが知られておりABO式血液型とRh式血液型が主に検査として行われている。ABO式血液型には、A型、O型、B型、AB型の4種類があり、日本人における各血液型の頻度は、40。30%、20%、10%となっている
Rh式血液型では、Rh陽性が99.5%、Rh陰性が0.5%で、Rh陰性。

ABO式血液型の検査

ABO式血液型の検査には、オモテ試験とウラ試験があり、この2つの検査を必ず行います
オモテ試験では、被験者の赤血球を使って検査を行います。赤血球に抗A抗体(青)、あるいは抗B抗体(黄)を加えて、赤血球が凝集するかを肉眼的に判定します。
凝集があれば反応陽性と判定します
ウラ試験では、被験者血清を使って検査を行います。血清に標準赤血球(血液型判定用のA型・B型の赤血球)を加えて、赤血球が凝集するかを判定します
Rh式血液型検査では、オモテ試験と同様に赤血球を使って検査を行い、抗D抗体と反応した場合、Rh陽性と判定します

なぜ血液型検査が必要なのか?

輸血をする際には、原則としてABO式血液型が、一致した血液を輸血する必要があります。異なった血液型の血液を輸血すると死亡することがある(ABO不適合輸血)。
Rh式血液型についてもRh陰性の人には、Rh陰性の血液を輸血するのが原則。
Rh陰性の女性がRh陽性の胎児を妊娠した場合には、胎児・新生児に重篤な合併症(新生児溶血性疾患;核黄疸)を引き起こす可能性がある

ABO式血液型検査 原理

必ず赤血球表面のAB抗原の検査であるオモテ検査と、Landsteinerの法則に従う血清中の抗体を検査するウラ検査の組み合わせで判定する。
※Landsteinerの法則:ABO血液型は対立する抗原に対立する抗体が存在すると言う法則。A型の血清中には好B抗体が存在し、B型の血清中には抗A抗体、O型には抗A、抗B抗体存在し、AB型の血清中には抗A、抗B抗体ともに存在しない。
※オモテ検査:ABO式血液型の赤血球表面の抗原を検査する検査方法で、抗A・抗B抗血清と検査する血球との凝集反応をその原理とし、A抗原、B抗原の有無を認識する。抗A血清は青色、抗B血清は黄色に着色されている。

ABO式血液型検査(試験管法)

1) 生理食塩液を用いて被検血球の3-5%浮遊液を調整する。
2) 第1の小試験管にオーソ バイオクローン抗Aを1滴滴下する。
3) 第2の小試験管にオーソ バイオクローン抗Bを1滴滴下する。
4) 毛細管ピペットを用いて、各試験管に3-5%血球浮遊液を1滴ずつ加える。
5) よく混和する
6)各試験管を3,400 rpmで15 秒間、あるい1,000 rpmで1分間遠心沈殿する。
7)肉眼で凝集を判定。

ABO式血液型検査(スライド法)

1) 抗A,抗B血清1~2滴 + 10%赤血球浮遊液1滴 をスライド上にのせる
2) 判定用抗体と赤血球を攪拌、混合しながら2分以内に凝集の有無を判定する

判定

A型:オモテ試験A(+)・B(-)かつ裏試験A(-)・B(+)
B型:オモテ試験A(-)・B(+)かつ裏試験A(+)・B(-)
O型:オモテ試験A(-)・B(-)かつ裏試験A(+)・B(+)
AB型:オモテ試験A(+)・B(+)かつ裏試験A(-)・B(-)

オモテ・ウラ試験が明らかに不一致となったものの原因

赤血球側の要因

・赤血球の抗原が少ない/無い
    亜型
    遺伝によるキメラ・モザイク
・悪性疾患による抗原性の低下
    白血病、Hodgkin病など
    直腸癌・ある種の細菌感染によりB抗原を獲得する(acquired B)
・自己抗体による赤血球の感作(新生児溶血性疾患、自己免疫疾患)
・赤血球膜の変化(細菌・ウイルス感染による汎血球凝集)
・異型輸血後

血清側の要因

・血清中の血液型物質が異常に増加(卵巣嚢腫・胃癌など)
・血清中の抗A・抗B抗体価の低下・欠損
    低γ-グロブリン血症
    無γ-グロブリン血症
    新生児
 高齢者 など
・寒冷凝集反応
・連銭形成(多発性骨髄腫など)
・不規則抗体の存在(抗M,抗N,抗P1,抗Lea など)
・母親由来の抗A,抗B抗体の存在(新生児

輸血の際の考え方

基本的にABO型の一致する血液型の製剤を用いますが、時間的余裕のない場合はABO同型血を用います。院内に血液製剤のない場合はABO異型適合血を用います。危機的出血への対応ガイドラインに記載される適合血選択の優先順位です。

患者血液型 赤血球濃厚液 新鮮凍結血漿 血小板濃厚液 
A  A>O A>AB>B  A>AB>B 
B B>O B>AB>A  B>AB>A 
AB  AB>A=B>O  AB>A=B  AB>A=B 
O  O  全型適合 全型適合 

またガイドラインには下記のように記載されています

*RhD陰性の場合は抗D抗体がなければABO同型RhD陽性血を使用してよい,
*不規則抗体陽性の場合でも、交差適合試験を行わず、A月0型適合を優先する,
*血液型不明の場合は0型を使用する。


    1. 交差適合試験省略時のりスク

患者がRhD陰性である可能性は0.5%で溶血反応を生じる可能性のある不規則抗体(抗RhE、抗Fy、抗Jka・bなど)を保有している可能恍は0.5%以下である。遅発性溶血は輸血終丁数時間後から3週間後まで発坐する可能性がある。反応が早いほど症状が桑篤である。溶血が生じた場合、利尿薬と輸液による強制利尿を行なう。

    1. ABO異型適合血輸血後の対応

輸血した後に、患者血液型と同じABO型血の輸血に変更する場合は、新たに採取した最新の患者血液と食垢水法で交差適合試験を行い、主試験が適合する血液を用いる。

④バーコードによる血液製剤認証システムを導入している施設では異型適合血輸血に
対応できていないことがある。その手順を文書化し、プログラムしておくことが望ましい。

(ヱ)新鮮凍結血腰
出血が外科的に制御可能になるまでは凝固因子の投与は無効である。しかし、大出血で
の希釈による凝固障害には複合した凝固因子の補充が必要なため新鮮凍結血漿を使用する。

参照 危機的出血への対応ガイドラインより

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