採血管が多い理由
採血の際に思う事として採血管の種類が多い事に驚くことも少なくありません。


※画像提供 写真AC
院内で実施しているもののみならず、外部委託検査の採血管を入れるととにかく多い事、検査科に問い合わせをした・されることは正直言って多い気がしますし外部委託検査の採血管は臨床検査技師が全ては網羅できていません

なぜこんなにもたくさん存在するのか?もう少し少なくならないか?と考える方も少なくなくないでしょう


採血管の種類と用途
臨床検査には血液中の物質の濃度や、量、指数、活性、細胞形態や遺伝子など対象とする物質がたくさんあります。目的とする検査対象物の種類に合わせて採血管が存在します


・血清:AST、ALT、BUN、Cre、血糖
※凝固促進剤が入っており血液が凝固するのを防ぐ


・EDTA 2K:血算(CBC)、血液像、血液型
※抗凝固剤が入っており検体が固まるのを防ぐ


クエン酸Na:PT、APTT、フィブリン、血小板凝集能
※抗凝固剤が入っており検体が固まるのを防ぐ


NaF(フッ化ソーダ):血糖、ヘモグロビンA1c
※解糖阻止剤が入っており時間の警戒に伴いグルコース濃度の低下を抑える


ヘパリンナトリウム:アンモニア、トロポニンT

これらは検査データに影響のない採血条件が求められます。たとえば血算(CBC)や凝固機能検査では血液が固まってはいけませんし、逆に生化学検査に用いる血清は凝固させてから分離を行い、項目によっては遠心分離してはならないものがあります

採血管の種類を間違えるとはっきり言ってデータが変わります
試に自分の職員検診時の採血管を生化学分析器にかけてみました


凝固検査用の採血管に入っているクエン酸ナトリウムは液体であるため血液は希釈されるため濃度項目の値は基本的に下がりますが、入っているナトリウム成分の影響で値は上昇します。フッ化ソーダにおけるナトリウム値は解糖阻止剤のナトリウム成分にナトリウム値は上昇します。また血算で使用するEDTA-2Kはキレート作用があるためにカルシウムや鉄が吸収され値は下がり、逆にカリウム値は上昇します。また抗凝固剤の成分によってはパニック値が発生します

このように採血管の種類を守ることで正確な検査が行えるわけです

個人的見解ですが、実際に採血管の種類と言うものは大変多く採る方も採られる方も負担になります。全てを1本で済ます事が出来たら患者さんの負担も減りますし、その特許だけでも物凄い収入になります。

このブログを検索

QooQ