多糖類染色法(PAS、アルシアン青)の意義と覚えておく事項

2021年1月23日土曜日

血液学的検査 細胞検査士試験情報 病理・細胞診

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多糖類とは


多糖類にはグリコーゲンやセルロースなどのホモ多糖類と2種類以上からなすヘテロ多糖類があり、プロテオグリカン、糖タンパク、核酸、アミロイドなどが含まれ、特殊染色で証明する必要がある症例があります

多糖類の分類

分類

局在

ホモ多糖類

グリコーゲン

ヘテロ多糖類

プロテオグリカン

酸性粘液

(ムコ多糖類)

ヒアルロン酸

結合組織

中飛細胞

中性粘液

(ムコ多糖類)

コンドロイチン硫酸

軟骨基質

酸性粘液

ヘパリン

肥満細胞

中性粘液

キチン

人体に存在せず

グリコプロテイン

酸性粘液

シアロムチン

小腸、機関誌などの胚細胞

スルホムチン

大腸、気管支などの胚細胞

中性粘液

胃粘膜、幽門腺、十二指腸線

多糖類染色の比較

分類

グリコーゲン

酸性粘液多糖類

酸性粘液

中性粘液

ヒアルロン酸

コンドロイチン硫酸

ヘパリン

シアロムチン

スルフォムチン

PAS

赤紫

 

 

 

赤紫

赤紫

赤紫

アルシアン青

PH1.0

 

 

 

 

 PH2.5

 

 

コロイド鉄

 

 

トルイジン青

 

赤紫

※メタクロマジ

赤紫

赤紫

 

赤紫

 

ムチカルミン

 

 

 

 

ベストのカルミン

 

 

 

 

 

 

PAS染色とは

PAS染色はグリコーゲンや真菌の検出、基底膜の観察を目的として広く使用されております。

PAS染色 染色原理

多糖類中の水酸基が過ヨウ素酸で酸化されると、アルデヒド基を生じます。これにシッフ試薬が結合して赤紫色を呈します。

PAS染色 染色手順

 1 酸化(過ヨウ素酸)
 2 水洗
 3 染色(シッフ試薬)
 4 分別(重亜硫酸水)
 5 水洗
 6 核染色(マイヤーのヘマトキシリン)
 7 色だし

PAS染色 染色態度


※病理コア画像より引用

陽性物質

グリコーゲン

中性粘液

酸性粘液

糸球体基底膜

真菌

リポフスチン

赤紫色

 

青紫色

陰性物質

 

酸性粘液多糖類

アルシアン青染色

アルシアン青染色は酸性粘液、酸性粘液多糖類検出のための用いられております

アルシアン青 染色手順

 1 染色(アルシアン青)
 2 水洗(酢酸水)
 3 後染色(ケルンエヒトロート)

アルシアン青染色 染色態度

アルシアン青染色では染色液のPHによって染色の特異性が変化します。PH1.0の時は多糖類(硫酸基)とのみ結合するが、PH2.5の時は多糖類の(硫酸基)と(カルボキシル基)と結合する

※ 病理コア画像より引用

陽性物質

青色

PH1.0

PH2.5

酸性粘液

(ムコ多糖類)

コンドロイチン硫酸

ヘパリン

コンドロイチン硫酸

ヘパリン

ヒアルロン酸

シアロムチン

スルホムチン

酸性粘液

スルホムチン

スルホムチン

ピンク色


トルイジン青染色

トルイジン青染色は、カリニ原虫、アミロイド、ニッスル顆粒の検出のために行われる染色で赤紫色に染まります。
また特徴的な染色態度としてメタクロマジーを示します。メタクロマジーは酸ムコ物質と色素が結合することで、結果として色素本来とは異なる色を呈します

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