検体検査機器更新の考え方・動き方・確認事項

2023年3月21日火曜日

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検査機器更新時にすべき事やチェックポイントは、書籍に意外に書いてそうで書いていないです。皆様には過去の経験はあると思いますが、ネットや文献で探してもなかなか文書化されることが少なく、この記事を目にした方のために参考程度に書き綴ってみます。

検体機器更新の流れ

検査機器の老朽化や年数の経過、新規診療に対応するためなどの理由で

機器更新の可能性が得てきたらが見えてきたら、イメージする必要が出てきます

 ・機器の構想と収益の予想

・機器の選定と仕様提出、入札

・機器の搬入とランニング

・院内周知。

・変更当日

・変更後の定期レビュー


これらのカテゴリを構想していく必要がありますし、担当技師、検査課の責任者の方はしっかりと構想を練り上げる必要があり、購入までには年数もかかるため、要望として挙げ続ける必要もあります。機器の構想では臨床からの要望項目の取り込みと機器の減価償却と試薬単価と収益予測は必要です。機器はかなり高額です。破格で購入した場合は独禁法にも該当しますので要注意です。

また機器は異常に安い場合試薬が異常に高い場合がありますので、メーカーや問屋などの言うことは警戒した方が良いです。また購入する機械が近隣では採用されていない場合、試薬消耗品の納品までの日数が問題となり過剰な在庫を抱える必要があり、ロスが生じる可能性が高まります。また採用施設数が少ない機械では精度管理などのサーベイでN数が少ない事で、悪い判定がつく可能性があります。また壊れた場合の復旧までに時間を要し診療に影響を及ぼすため近隣で使用していない機器は避けておいた方が安全です。

検体検査機器更新構想の際の注意点

機械更新時は更新のための理由があります

機器更新の理由

・診療のため

・機器の老朽化とトラブル多発に伴う変更のため

・収益改善のため

構想の設定

それら理由により機器更新がありますが、更新することにより、現状より悪くならないよう構想を進めます。

TAT解析(現状より早くなるか?)

・損益分岐点の設定(赤字項目と収益化件数を調べる)

・動線の調査(仕事の動線が悪化しないか)

TAT解析はメーカーに言えばやってくれる場合があります。稼働台数が増加することでTATは短縮され機器トラブル時も検査は継続できます。デメリットとして稼働台数増加による、コストの増加(試薬・機器の消耗品、減価償却)は必ず生じます。また機械が増加した場合検査スペースを圧迫します。このため動線は悪くなります。また検体数が非常に多い場合は省力化のために搬送装置が必要になります。分注装置、開栓装置、ストックヤードなども設置する必要があり、搬送のレーンにも注意が必要です。検査スペースに入る搬送ユニットのレイアウトで、作業動線を妨げないかつTATが延長しないよう注意していく必要があります。また臨床からの要望項目や収益化できそうな検査項目に関する情報収集を行います。臨床の要望を満たしつつ、収益化できTAT短縮ができる機会を用いた検査体制の構築をイメージしておきましょう。

機器の選定と仕様提出、入札の際の注意点

1) 仕様書の作成

2) レイアウトの決定

3) 機器の選定

4) 試薬の選定

5) 運用の設定

6) 入札

入札に備えて、仕様書を作成する必要があります。機器の選定やレイアウトを決定した後に仕様をまとめていく必要があります。ダウンスペックにならなく、オーバースペックかつ高コストにならない要望機種を用いた仕様書を作成します。具体例としてはNTP-proBNPの運用からBNPの運用へ切り替えたくない場合は“NTP-proBNPが測れること”と仕様書に記載しておくとよいでしょう。また保守サービスなどの取り決めに関する事項も記載しといた方が良いでしょう。

運用決定時

1) システム会社とのやり取り

2) 分析装置会社とのやり取り

3) 搬送分析装置メーカーとのやり取り

4) 汎用分析試薬検討の日程調整

入札が終了したら、検査機器会社、搬送機器会社、試薬会社、システム会社、納入問屋と納品日程、ランニング日程、廃棄日、準備すべきものなどの話を進めていきましょう。

機器更新までに準備すること

1)相関検体の収集(最低でも1台につきN20

2)高値検体の収集(オンライン希釈再検用)

3)試薬の準備

5) 新規分析装置の試薬消耗品の見積もりの提出と、発注マスタ登録(SPD申請)

6) 検査システムと電子カルテマスタの設定

7) 不用品の撤去(場所の確保もあるが動かしたとき絶対ゴミが出て掃除が必要となる)

8) 基準値の変更と新規機器と現行法の相関に関する説明

 機器が搬入されるまでの間に、相関検体と高値検体の収集が必要です。機械1台につき1項目×20件は集めます。値は低地~測定上限までの各濃度域のものが望ましいです。自動希釈再検設定確認のために直線性上限を超えた以上高値検体の収集もあるとよいです。またやりがちなのですが、感染症の検査では陰性検体の準備も忘れないよう注意が必要です。


システム設定をいかに決めるかが後の結果を左右する

検査機器更新時には検査システムと電子カルテマスタの設定を行う必要があります。これが一番大変です。

・基準値や単位の変更

・採血用機の変更

・分注量の設定

・分注容器の設定

・検体種別と保存法

・測定条件

・フラグと対応すべきアクション

・機器マスタとの紐づけ

・精度管理マスタとの紐づけ

機械更新で最も重要なのはマスタとの紐づけと、アクションの設定だと思っております

ここを間違うと、検査そのもの、オーダーが立たない、ラベルが出ない、測定に行かないことはザラです。また次の更新の時まで無限に間違えたデータが発生し続ける可能性があります。一番恐ろしい作業です。またマスタの世代交代が行われた場合は日時が変更する際、0時にダミーオーダーを立てて確認したほうが良いです

機器のオンラインの確認

機器と検査システムを接続する必要性があります。

・オーダーできるか?

・分析がうまくいくか?

・結果が上位に送信されるか?

・再検査できるか?

・希釈再検できるか?

など確認する必要がります

また日常的に行っている精度管理のデータも検査システムに送信されるかを確認する必要性があります 

採血管の変更がある場合は周知する必要がありますが

ラベルの設定の変更、項目マスタの容器コードの変更を行いラベルが正しく発行できるか確認することが重要です。また切り替え日以前に、採血管一覧を作成して事前周知する必要もありますし、変更日以降は病棟や外来にある従来採用していたものと新規採用品を差し替えねばなりません。相関性と基準値の医師への説明に関しては新規分析装置で使用する試薬が変更となる場合、生化学ではそこまで大きな変化はなく、機械変更=試薬の変更=基準値の変更 とはなりません。逆に免疫検査の場合機械変更=試薬の変更=基準値の変更 となる可能性が高く、特に免疫検査の場合は単位や基準値が大幅に変更となる可能性が高いです。相関性も機会が変わることで、従来の値から3割高く(低く)結果が出ることもざらです。

また基準値が変わるものに関しては医師への周知が必要です。

相関性のデータや、基準値の変更リストなどを持参し、医師へ説明に回る必要があります。

電子カルテや検査システムの項目マスタにある基準値を設定し、世代交代する必要があります。

機器導入時の際の注意点


機器が搬入されたら、立ち上げ操作を行ったのちに、試薬のランニングが行われます。担当者はこれにも立ち会わねばなりませんし、ランニングマンのサポートが必要です。また試薬のランニングが終わらないと自動再検査設定などの設定が行えません。ランニングが終わったら本設置となります。古い分析装置の下には長年の汚れもたまっています、掃除が必要です。

機器導入後の注意点

機械を入れてシステムとのオンラインテストが終わってはい!終了!!ではありません。機器を接続しなおすと、思わぬバグが出たり、具合が生じます。検査システム会社の方が立ち会ってくれますのでしっかりと話し合ってまとめていきましょう。またその際に件あシステムの不具合も直してもらうことが重要です。また機械や試薬が変わることで基準値が変わる場合があります。また相関性によっては測定値が34割は変化する検査項目がありあります。最初のうちは臨床からの問い合わせも多いので非常に大変です。またマニュアルの改訂や担当スタッフとの運用のすり合わせと確認、また当番者への教育などやることは非常に多く、半年近くは忙しいです。

さいごに

機器更新の際の流れと確認事項を述べました。選定の段階で間違え変な機器を入れると、数年間我慢し続けねばなりません。また収支を無視した場合ひたすら赤字が発生し続けます。

基本的にランニングして分析するならだれでも入れることはできますが、再検査、希釈再検査の設定などはシステム側の設定が必要となります。またこの作業を間違えてしますと無限に間違えたデータが発生し続けるため確認に確認を重ねて作業を進めていく必要があります。

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