クリオグロブリンとは
クリオグロブリンは寒冷で沈殿し,37℃ に加温すると再溶解する性質をもつ異常蛋白です。
構成成分は免疫グロブリン(Ig)で血管内にて沈降物が形成されること小血管血管炎(免疫複合体型血管炎)を生じさせることで皮膚,関節,神経,腎臓に症状が認められ、腎臓ではネフローゼ症候群を呈する。
クリオグロブリン血症分類
クリオグロブリン血症はⅠ型クリオグロブリン血症、Ⅱ型クリオグロブリン血症、Ⅲ型クリオグロブリン血症の3つの病型に分類される
※クリオグロブリン血症の分類
型
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頻度(%)
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I型
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10~15
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モノクローナルIg自体
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Bリンパ球系の悪性腫瘍
Waldenstrom型マクログロブリン血症
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II型
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50~60
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IgMκ型の混合型
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本態性(血液疾患、膠原病)
本態性(HCV感染)
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III型
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30~40
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2
つの多クローン性Igの混合型
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自己免疫疾患
慢性感染症
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1989 年にC型肝炎ウイルス(HCV)が同定されて以来,大半はHCV感染症を合併することが明らかとなり,本態性は5%未満であるとされるため日常的に的に遭遇するクリオグロブリン血症はHCV関連のものと言われている。
クリオグロブリンは皮膚,関節,神経,腎臓などが侵し、皮膚(主に下腿)に寒冷刺激部位に網状皮斑,紫斑,潰瘍などの症状を呈する。
腎病変の頻度はBrouetらによれば,I型で25%,II型31%,III型12% とされ蛋白尿や血尿を来し,無症候性血尿や蛋白尿症候群が約50% と多く,約20% はネフローゼ症候群,20~30%
は急性腎炎症候群を呈する
・検査所見:赤沈の亢進,CRP(C-reactive protein)上昇,リウマチ因子陽性、
・病理組織所見:管内増殖性病変、エオジン好性・PAS陽性・コンゴレッド陰性の塊状沈着物、膜性増殖性糸球体腎炎
・蛍光所見:C1q・C3 の沈着とクリオグロブリンの成分に一致したIgの沈着
・電顕初見;糸球体基底膜内皮下に高電子密度沈着物(electron dence deposit)を認める
クリオグロブリン測定法
クリオグロブリンの検出は試料を冷蔵庫に放置することにより行われ,その検索は単離精製したクリオグロブリンについて実施される.検索法としては同定試験ならびに定量試験がなされるが,同定法としては免疫電気泳動法や二重免疫拡散法などの免疫化学的方法が用いられ,定量法としては屈折計法,Kjeldahl法,Biuret法,紫外部吸収法,単純放射状免疫拡散法などが用いられる.クリオの検出法は試験管内沈殿(と再溶解)をみるスタンダードな方法があるが,感度の高いアガロースゲル沈降法も一部の検査機関で採用されている.クリオグロブリンの検出においては,沈降速度や量に症例差があり,微量検出例も存在するため,一回のみの検査では不十分で,強くクリオグロブリン血症が疑われる症例においては複数回の検査が必要となることがある.またクリオグロブリンが検出されれば免疫電気泳動によりモノクローナルかポリクローナルかを判定し,クリオグロブリンを単離したのちIgクラスやサブクラスの同定を行うこともある
クリオグロブリン測定時の注意点
・採血時より血清分離までの間は37℃の状態で行う
•クリオグロブリン以外のもの(クリオフィブリノゲン,フィブリン析出など)の有無を確認する。
•クリオの存在により試験管内で補体が活性化し,説明のつかない低血清補体価がみられることがある(補体のcold activation)
引用文献
① 岸誠司 土井俊夫 特集腎障害をきたす全身性疾患―最近の進歩 3.クリオグロブリン血症 日本内科学会雑誌第100巻第5 号・平成23年5 月10日
② シスメックスプライマリケア
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