熱中症の血液検査

2018年8月8日水曜日

血液学的検査 生化・免疫学検査 輸血検査

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近年夏場は暑い日が続きます。外で作業をしたり運動をしたりする場合“熱中症”になるのではないか?と思える時があります。時折ニュースにて高齢者が熱中症で死亡したというニュースを耳にします。このため今回は熱中症についてまとめてみました


熱中症とは?
暑い環境の中、体の体温調節機能が働き多量の発汗・水分と塩分の喪失(脱水)•体表面の血管拡張循環血液量が不足し体温調節機能が破綻し高体温を生じさせて蛋白変性や炎症性サイトカインによる臓器障害、ショック、熱中症重症化を引き起こします。
熱中症は従来,熱痙攣(heat cramp),熱疲労(heat exhaustion),熱射病(heat stroke)と分類されていたが,近年では重症度によってⅠ~Ⅲ 度に分類されています。
治療は,速やかに涼しい環境へ移動させ,安静,冷却,水分補給に努める必要があり水分補給については,塩分と水分が適切に配合された経口補水液が推奨され高体温の時間が長くなると神経学的予後が不良となり速やかに38℃台に到達するよう積極的に冷却する事が重要です。


労作性熱中症と非労作性(古典的)熱中症
若年者と高齢者では熱中症の発症様式が異なり熱中症は労作性熱中症と非労作性(古典的)熱中症の2つがあり違いは下記の表します

労作性熱中症
非労作性(古典的)熱中症
年齢
若年~中年
高齢者
性差
圧倒的に男性
男女差なし
発生場所
屋外、炎天下
屋内(熱波で急増)
発症までの時間
数時間以内で急激発症
数日以上かかり徐々に悪化 
筋肉運動
あり
なし
基礎疾患
なし(健康)
あり(心疾患、糖尿病、脳卒中後遺症、精神疾患、認知症)
予後
良好
不良

また日本救急医学会「熱中症に関する委員会」の 推奨する分類があります

症状
治療
従来の分類
Ⅰ度
めまい、
大量の発汗、欠神、筋肉痛、
筋肉の硬直(こむら返り)
(意識障害を認めない)
通常は現場で対応可能
→冷所での安静、体表冷却、経口的に水分とNaの補給
熱失神
熱けいれん
Ⅱ度
頭痛、嘔吐、
倦怠感、虚脱感、
集中力や判断力の低下
JCS1以下)
医療機関での診察が必要→体温管理、安静、十分な水分とNaの補給(経口摂取が困難なときには点滴にて)
熱疲労
Ⅲ度
(重症)
下記の3つのうちいずれかを含む
(1)中枢神経症状 (意識障害≧JCS2、小脳症状、痙攣発作)
(2)肝・腎機能障害 (入院経過観察、入院加療が必要な程度の肝または腎障害)
(3)血液凝固異常 (急性期DIC診断基準(日本救急医学会)にてDICと診断)
入院加療(場合により集中治療)が必要
→体温管理
(体表冷却に加え体内冷却、血管内冷却などを追加)
呼吸、循環管理
DIC治療
熱射病


熱中症と血液検査
血液検査も有用となる場合があります。三宅(参考資料2)によるとる意識障害,収縮期血圧(「90mmHg以下対「それより高値」),心拍数(「120/分以上」対「未満」),体温(「39.0℃以上」対「それ未満」),血小板数(「12/μl未満」対「それ以上」),ALT(「50IU/l以上」対「それ未満」)では,異常値を示す症例数に有意差が認められた(p<0.01)。またD-DimerCRPはその平均値に外来帰宅例と入院例で有意差が認められた(p<0.05)。と報告があります。

HeatstrokeSTUDY200616)、200817)、20105)の延べ3,227 例での検討からは、熱中症分類におけるⅢ度の評価項目である中枢、肝・腎、血液凝固の各臓器障害の程度を
点数化して集計することが、重症熱中症の重症化および予後の指標として有効である可能性が示されたとされます

・Ⅰ度:尿一般
・Ⅱ度:尿一般・末梢血一般
・Ⅲ度:尿一般・尿沈査、CK、ミオグロビン、凝固検査、末梢血一般、
肝・腎機能障害の検査、プロカルシトニン、血液ガス分析・乳酸

脱水に程度の評価に尿検査や末血検査が、腎機能の評価として尿検査、腎機能項目を評価しますが横紋筋融解症の判断にCKやミオグロビン、血液凝固異常やDICの評価に凝固検査、敗血症の重症度の確認にプロカルシトニン、酸素状態の指標として血液ガス分析が有用となります。


参考資料
1)シスメックスプライマリケア
2Heatstroke Surveillance. Characteristics of heatstroke patients in Japan; Heatstroke STUDY2008. JJAAM. 2010; 21: 230-44
3)熱中症診療ガイドライン


予防策
・暑熱環境を避けること(涼しいところに避難しよう)
・熱中症の危険因子の対処法として、スポーツや仕事における暑熱環境を避けることが
出来ない場合:少しずつその環境に馴らしておく、意図的な休憩と水分・塩分補給をする


とにかく近年夏場は暑いので無理をせずにまめな休憩と水分補給を取りながら夏をやり過ごしましょう

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