臨床検査業務においてもPDCAサイクルを上手く機能させることが大事です。
定期的に内部監査を実施する事で、業務改善が適切に行われているかチェックされます。不適切な事項が有れば是正処置を行う事で改善を図り臨床検査業務の品質の向上と効率化と図ることができます。
内部監査とは
そもそも内部監査とは組織内部の人間による監査のことです。
社団法人日本内部監査協会によれば下記の点を内部監査の目的としています
⑴ 経営目標が組織体の末端にまで浸透し、目標に沿った施策が効果的に実行されているかを検討・評価し、その改善を図ることによって目標の効果的達成を促進すること
⑵ 識別されたビジネス・リスクに対応した効果的な内部統制システムの充実を促進すること
⑶ 内部統制システムの整備・運用状況を検討・評価し、その改善を図ることによって
内部統制の目標(情報の信頼性、法令準拠性の確保、効率性の向上)をより効果的に達成するとともに、法定監査の実施に資するものとすること
⑷ 組織体の全体的な業務の実施状況や、部門間の連携状況を検討・評価し、その 改善を図ることによって、組織体全体としての円滑な業務運営を図り、経営活動のより一層の合理化を促進すること
要するに内部監査自体はPDCAサイクルのCのチェック辺りからAに当たり適切に業務が行えているか?不具合の改善と業務改善を図ります。
臨床検査業務における内部監査の役割
『ISO15189の臨床検査室 品膣と能力に関する特定要求事項』では検査室に内部監査を行うことを求めています
品質マネジメントが正しく行われているかをチェックし改善するうえで非常に重要です
検査業務が適切に行われているかを考えた場合ISO15189取得の有無にかかわらず内部監査を実施したほうが良いです。
臨床検査業務における内部監査実施手順
臨床検査業務における外部監査の行い方ですが、手順を踏んで計画的に行う必要があります。
1)ISO内部監査の準備
2)被監査部門の事を知る
3)確認することを洗い出す
4)チェックリストの作成
内部監査の実施
1)内部監査質問
2)内部監査の報告
3)内部監査報告書の作成
内部監査における是正
内部監査を実施に際に見つかった不適合や実務上で出た不適合に対して是正処置と是正処置報告書の作成を行います。
是正処置は本来の手順からハずれた場合に行うことが多く、再発防止のために同じ過ちを繰り返さないことをその目的とします
自身の勤務する検査室での監査の実施と是正事例
自分の勤務先はISO15189認定は取得しておりませんが、将来的には取得する可能性もあるため行いました。
ISOの要件は満たさなくてもある程度は定期的に業務を見直そうという事で2018年の医療法改正に対応出来ているかの確認すべく医療法改正のポイントを対象とし、同時に保健所の立ち入り調査時に問われる事項も内部監査対象としました
医療法改正事項
•精度管理台帳の整備状況
•標準作業手順書の整備状況
•機器整備台帳と手順書の整備状況
•温度管理台帳の整備状況
保健所から聞かれやすい事項
•作業環境測定の実施状況
•毒劇物の管理状況
•バイオハザード対策
•検体の保管状況
内部監査を実施したところ、
•更新した機器の機器整備台帳の一部不備
•点検記録の不備
•ホルマリン容器の払い出し数との突合
•目合わせの記録の不備
といった箇所の運用不備と書類の未整備がわかりましたので、是正処置と運用マニュアル、周知を行いました
臨床検査業務の是正とは
内部監査実施時に文書の整備ができてない場合は台帳や手順書を作成します。
また法的要件が満たせない場合は可及的速やかに業務是正を行う必要があります。また手順から大幅に逸脱していた場合も是正する必要があり、その時は是正報告書を作成します。
そもそも是正とは本来の業務手順から大幅に外れた際に本来の状態になるよう業務を修正することです。
その時には対策を練り業務改善を図ります。水平展開とも言いますが、その時の業務改善が他の業務に当てはまらないか?ひとつの仕事でどの範囲まで改善できるか考えます。
内部監査を実施する上での注意点
検査室で内部監査を実施する際に注意すべき事項として
•日程の組み方
•是正処置の期限
•重箱の隅をつつくような内容を問わない
日程調整は非常に大事です。内部監査や是正処置を行う時が繁忙期や人事異動の時期に行うのは非常に大変ですし、夏休み時期も人がいなかったりします。しっかりとした根回しや周知が必要です。
また監査対象部門の人間が嫌いだからといって、重箱の隅を突くような、マウンティングするような内容事項を問うのは喧嘩や諍いの元となりますので控えましょう。先ずは医療法や施設基準に該当する内容から始めていけば良いと思います。
まとめ
簡単にですが臨床検査業務の内部監査についてまとめてみました。定期的に業務内容の確認を行い、不適切な業務内容は是正と周知を行い水平展開を図ります。加えて是正処置も定期的に評価し、不具合が無いか洗い出すことです。長年の慣習が実は間違えていることもありますし、極め付けは実は違法操業だったというケースも耳にします。特に初期の段階で間違えてしまうとエンドレスで間違ったデータが大量生産されてしまいます。傷が大きくなる前にも内部監査を実施し定期的に業務を見直すことで検査室のクオリティ向上しますし、生き残っていけると思います。
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