臨床検査における運営方式の特徴と売上課金方式(PRT)の特徴

2024年1月23日火曜日

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近年、生化学検査に対する診療報酬は低減する傾向にあり経営の効率化が求められています。

病院臨床検査部門の運営形態ですが検体検査では機器整備や試薬の管理が必要で

検査件数や経営方針、技師の力量、コストなどが理由で施設毎に運営方法が異なりますが、大まかにいえば検体検査では下記の5つに分類されます。

1)自主運営

2)外部委託

3)FMS(Facility Management System)

4)ブランチラボ

5)売上課金方式(PRT)

検査室における各種運営方式の違い

1)自主運営方式とは

病院臨床検査部門の自主運営とは施設で臨床検査技師を採用し、診療の必要に応じて人員を配置し、

機器試薬を選定します。長所としては、専門性も高くモチベーションも高く、病院で雇用するため

臨床検査以外の業務にも従事させることが可能でs、また当番に入れることも可能です。

欠点としては、人件費や機器を購入する事による減価償却が生じることです。

また検体検査は法的にも外部委託しても問題はなく、固定費の問題もあり、収益性もあるのですが

人件費の問題もあり、経営陣からブランチラボなどの打診をされることもしばしばあります。

2)外部委託方式とは

機器や試薬の購入があり、件数が少なく収益性の乏しいものは外部委託する事が殆どです。

このためどの施設でもすべての検査を自前で行うことで完結する事はまずありません。

検体検査室においても何かしらの検査を外部委託しております。

全ての検体検査を外注する方法です。クリニックなど検査件数が多くない場合は完全外部委託となることもしばしばです。

3)FMS(Facility Management System)方式とは

FMS方式は検査機器や試薬を検査センター等の企業から購入する方式です。

勤務する臨床検査技師は自前で採用する必要があります。

FMS方式の特徴としては、検査機器や試薬を検査センターから購入する事により、センター価格で試薬や機器を購入できるため

機器の固定費や、試薬代の変動費が抑制されます。

機器は数年後に購入するか支払い続けるか判断する必要があります。わかりやすく言えば自動車の残価設定プランに近しいです。

また検査技師は派遣ではないため当番や病院業務には参画させる事ができますが、

検体管理加算を算定する事が出来なくなるため、支払期間中での抑制されるコスト収益と、

FMSを行わないときのコストと収益をしっかりと見極めることが重要です

4)ブランチラボ方式とは

ブランチラボは人件費抑制のために、外部から検査スタッフを派遣する方式です。

派遣する企業としては大手検査センターから派遣される事が多いです。

主に生化学、一般、血液検査、微生物検査がブランチラボになりやすいです。

病理検査、生理検査などの完全に自動されていない領域、検査センターが責任を負いたくない輸血検査に関しては

ブランチラボにはなりにくいとされております。

長所としては人件費(固定費)は抑制されます、。常勤職員とブランチラボ職員が混在して働く場合

給与面や教育研修・福利厚生などの待遇面での差が不満につながりやすいです。またこの差が仕事に対するモチベーションの差になるといわれます。また派遣先によっては夜間勤務や当直業務に従事させられないなどのデメリットが生じます。

5)売上課金方式(PRT)とは

検査実績課金方式は、各検査測定項目につき1テスト当たりの価格(単価)を試薬メーカーと契約し

毎月の検査報告実績数に対してのみ費用を支払う完全後払い方式の制度です(※自前の場合は事前に購入して準備する必要があります)

再検まで測定したとしても請求される試薬コストは1テスト分のみであり、試薬代・消耗品代を大幅に削減する事が可能となります。

PRT導入のメリットは

・装置は幅広いラインアップから選択可能

・一般的な生化学検査測定項目に対応

・メンテナンス契約をあわせてサポート

・年間の請求書は12枚のみ、大幅に事務工数を削減可能

といったことが特徴となります。特に生化学検査原価を明確化は特徴的です。

自前で分析単価を算出するのは非常に手間と時間を要しますが、PRTでは検査実施時の1テストあたりのコストが一定のため、検査原価の明確化は容易です。そうなってくると検査収支のシミュレーションが容易になります。

検査実施後に請求が発生する後払い方式のため、導入時のイニシャルコストが不要となります。

請求書は検査実施の翌月に発行されるので請求書は年12枚のみとなります。結果として事務業務の大幅な簡略化されます。

PRTの場合は自動分析装置が病院の固定資産にならないので、自動分析装置を導入しやすくなり

院内での迅速検査が可能なので患者サービスの向上につながります

さいごに

臨床検査における売上課金方式(PRT)を紹介させていただきました。

分析原価や、機器の資産管理など検査体制を構築するうえで悩ませることは多いと思います。

また臨床からの要望もあり収益化も見込めるのだが、機器購入に持ち込めないケースも少なからず存在すると思います。

機器や試薬の購入につながりますので、検査体制の方法を把握し構想する事が重要です。


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