薬剤性血小板減少症の検査方法

2024年2月21日水曜日

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薬剤依存性抗血小板抗体とは

血小板数が10×10^4/lとなった場合を血小板減少症と定義しており、血小板減少症の原因には先天性のものと後天性のものがある。

また薬剤に起因する薬剤性血小板減少症の一つとして認められる場合があります。


この薬剤に起因する血小板減少症で非免疫性と免疫性機序により発生するものに分類されます

薬剤性血小板減少症の発生機序

非免疫性機序:主に抗がん剤により生じます。骨髄抑制による血小板減少の一つとされます

免疫性機序:薬剤投与5~10日目に出現する事が多く、血小板数は2万を下回ることもしばしばです。※キニン、バンコマイシン、リファンピシン等の薬剤により生じます。

1)ハプテン依存性抗体:薬剤がハプテンとして幕蛋白に共有結合し、免疫反応を惹起(ペニシリン系、セファロスポリン系抗生物質

2)キニン型薬剤存在下で膜蛋白に結合できる抗体が存在する(キニン、スルフォンアミド)

3)フィバン型:薬剤と結合したGPⅢb-aの構造を変化を認識する抗体の存在(GPⅢb-a抗体阻害薬)

4)薬剤特異的抗体:GPⅢa認識抗体のマウス由来成分に対する抗体が産生(GPⅢb-a抗体阻害薬)

5)自己抗体:血小板に対する自己抗体が産生され薬剤非存在下でも反応する(金製剤、プロカインアミド)

6)免疫複合体によるもの:薬剤/血小板第四因子と交代による免疫複合体が血小板を活性化する(ヘパリン)

薬剤性血小板減少症の頻度

1)日本人:不明

2)スウェーデン:1/10万人/年

3)デンマーク:1/10万人/年

4)米国:1.8/10万人/年

薬剤性血小板減少症の臨床検査値

・血液検査:血小板数の減少(10万/mm^3以下)

・尿潜血:陽性(沈査で赤血球増加)

・便潜血:陽性

・薬剤依存性抗血小板抗体の検出(検出感度は低い)

薬剤性血小板減少症の検出方法

一般社団法人 非本血栓止血学会によると薬剤性血小板減少症を診断できる検査はないと定義しております。

臨床経過から血小板減少の原因と思われる薬剤を推定する。薬剤中止後、血小板数が改善されることとを確認する以外には確定的な検査方法はないとされております

検出方法に関しては、厚生労働省が平成19年に発行している重篤副作用疾患別マニュアル 血小板減少症に記載があります

バンコマイシンを例に挙げております

”バンコマイシンを含む溶液と含ま内用液を作成し、それぞれに健常人の洗浄血小板に患者血清を加えたものを混合し、抗人IgGないしIgM抗体を用いてフローサイトで確認した”との記載があります。

フローサイトの機械がない場合、スライドに塗抹鏡検して判定できないか気になるところです

血小板減少が医薬品に起因するか判断する基準

1)疑われる医薬品が、血小板減少をきたす以前に投与され、投与中止により血小板減少から回復する

2)疑われる医薬品が血小板減少前に投与された唯一の医薬品であること

3)疑われる医薬品の再投与により再び血小板減少を認めること(倫理上不可能であろう)

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