VerifyNow を用いた血小板活性測定上のメリットと注意点

2024年8月14日水曜日

血液学的検査 情報 臨床検査技師の日常

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VerifyNowを用いた血小板活性の測定はこれまでは機器の承認がとれなく、

保険点数の請求出来なかったですが最近リリースされた機器で保険収載されたため点数の請求が可能となっています。また米国のフローダイバーターのガイドラインにも本機器を用いた検査が記載されているため病院検査部門で使用する事の要望を臨床から確認されることもしばしばあります

VerifyNowは保険適応の時系列

・2021年6月:VerifyNow System ベリファイナウ(装置)

・2022年5月:テストデバイス(試薬カートリッジ)

VerifyNowの臨床的意義

・クロピドグレル等のチエノピリジン系の抗血小板薬の効果

クロピドグレルの効果が減弱するCYP2C19機能喪失型の遺伝子多型保因者では、PRUが高値である。

VerifyNowと血小板凝集能検査との違い

VerifyNow検査と血小板凝集能力(ヘマトレーサー)との違いですが、血小板凝集能検査の場合血漿検体からPRPとPPPを作成する必要があり、ADPやコラーゲン試薬の調整が必要です。

一方でVerifyNow検査ではアスピリンとP2Y12の2種類の測定カートリッジそれぞれを機器に設置し、採決管を挿し込むだけです。

また測定結果ですがVerifyNow検査では活性値が数値で表示されますが、血小板凝集能検査の場合は区分分けでのみしか表示されません

操作の簡便性と時系列の追いやすさは圧倒的にVerifyNowを用いた血小板活性に軍配が上がります

VerifyNowを院内導入するときに注意すべき事項

VerifyNow により評価した抗血小板療法下の残存血小板機能と臨床予後との関連は、P2Y12阻害薬について数多く報告されている。

PRU 高値の患者群では、冠動脈インターベンション後のステント血栓症、心血管イベントや死亡が高率で、低値の患者群では出血が多いことが示唆されている。

さらに、PRU高値が心血管イベントの予測因子となることを示す報告もあります。

操作性や時系列、臨床から脳のフローダイバーター設置という臨床要望があるかもしれませんが、ちょっと待ってください!血小板凝集能検査では50点の保険点数、確定診断のための場合は500点となっていますがVerifyNow検査では50点しか請求できません

VerifyNow検査で問題となるのはコストです。試薬がべらぼうに高いです

血小板凝集能検査は煩雑ではありますが、分性単価は数百円程度です

しかしVerifyNowを用いた検査ではアスピリンとP2Y12のカセット2つで数千円/件します。確か1万円/件に近いはずです。このため一回することに数千円の赤字が発生する問題が出てきます。自分の勤務先でも数千円/件の赤字が出ることが明るみになり、機器申請が停止しております

また採血管も別途専用のものが必要となることに注意が必要です

外観上 黒のゴムキャップの採血管ですので恐らく間違われる可能性が高いです

VerifyNowを院内導入したくない際の方策


当院でのVerifyNow導入による推算では年間100万円程度の赤字が発生する事が予測されました

VerifyNowの有用性を否定すべき文献収集をしましたので紹介させていただきます

1.血小板機能検査はやるだけ無駄:VeryfyNowは不要

 心筋梗塞などの血栓イベントの発症には血小板が一定の役割を果たしていると想定される。血小板凝集機能検査は出血性疾患のスクリーニング法として1960年代より施行されており、VerifyNowは血小板凝集機能検査の原理をより現代的な方法にて簡便に計測可能とした方法である。 血栓イベントの発症における血小板の役割の詳細は十分に理解されていない。
かつて、血小板凝集を完全に阻害するGPIIb/IIIa受容体阻害薬が開発されたときに、血小板凝集阻害は必ずしも血栓イベントの低減に直結しないことは確認されていた

2.速報!AHA2012

 待機的ステント留置例におけるVerify-Nowによる血小板活性測定の有用性、認められず:ARCTIC

近年、ex vivoの血小板活性簡易測定キット(VerifyNow)が開発された。

これにより、クロピドグレル不応例などに対するより効果的な抗血小板療法の実現が期待されたが、2つの無作為化試験(GARVITAS、TRIGGER-PCI)では、薬物溶出ステント(DES)留置後にVerifyNowを用いて

抗血小板療法を調節・変更しても、有用性は従来のクロピドグレル療法と差がなかった。同様に、3日のLate Breaking Clinical Trialsセッションにて報告された無作為化試験ARCTICにおいても、VerifyNowを用いた抗血小板薬の用量調節は予後改善に結びつかなかった。ピティエ・サルペトリエール病院(フランス)のGilles Montalescot氏が報告した。

まとめ

VerifyNowを用いた血小板活性の評価ですが、ぱっと見簡便さが目立ちますが

運用やコスト面では圧倒的に導入しない方が検査部門としては個人的には良い気がします 。この機会はPOCT検査の一つですので、なるべく臨床で測定してもらう方向にもっていった方が検査科の赤字も出ないですし、臨床が納得するラインのような気もしますが、この話が来た際には二つ返事で”やります”と言わない方が賢明です

詳しくは下記出典を参照して判断してみてください

出典

https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ivd/PDF/100860_30400EZX00027000_A_01_03.pdf

https://www.carenet.com/news/risk/carenet/32715

https://www.carenet.com/news/general/carenet/32071」

https://jsth.medical-words.jp/words/word-425/

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsth/25/1/25_110/_pdf

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcns/29/2/29_94/_pdf

https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/ecasebook/live/documents/hybridneurosurgery11.pdf

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