検査のパニック値とは?

パニック値とは直ちに医師に報告しないといけない値である。

 

「生命が危ぶまれるほど危険な状態にあることを示唆する異常値で直ちに治療を

開始すれば救命しうるが、その診断は臨床的な診察だけでは困難で検査によってのみ

可能である」

“出典 日本臨床検査医学会.臨床検査のガイドライン2005/2006 

症候編・疾患編・検査編(Online.available from http://jslm.org/books/guideline/guideline05_06.html

last accessed 2015-7-9)”

 

つまりそれだけ重篤な状態であるため速やかに治療が必要であるためすぐさま報告する

必要がある。パニック値を以下の表に示す

 

項目

基準値

単位

パニック値

パニック値

生化学

 

 

 

 

Na

135147

mEq/l

120

160

K

3.65.0

mEq/l

2.5

6.0

Ca

8.010.3

mg/dl

6.0

12.0

AST

835

U/l

 

1000

ALT

430

U/l

 

1000

LD

120230

U/l

 

1000

Glu

60110

 mg/dl

50

350(外来)

500(入院)

血液・凝固

 

 

 

 

WBC

4.57.7 4.37.3 1

103/μl

1.5

20.0

Hb

13.515.7

11.513.9

g/dl .

5.0>,

17.0

 

PLT

194339

103/μl

30

1000

PT-INR

0.91.1

 

 

P2.0

血液ガス

 

 

 

 

pH

7.357.45

 

7.2

7.6

PCO

3545

Torr

20>,

50(急性)

70(慢性)

PO

75

Torr

50(急性)

40(慢性)

HCO3

2328 

mEq/l

15

40

 

また自身の経験の話になるが、Creの初検値が12であったためパニック値報告を

行ったのだが実は透析患者であったため報告しなくて良いと担当医師から言われることが

時々あった。この事例の様に透析患者での UNCRE のように,前回値との比較により

速報する必要のない場合もあるが規定上はパニック値であったためしたのだがこういう

場合気持ちが萎える。またパニック値は病院により異なる。これは臨床医と協議の上で

施設毎に話し合ったうえで決定されるためであるが、どのような項目や値であるにしろ

迅速・確実に臨床医に伝達される必要がある。

 

 

 

パニック値報告が遅れるとどうなるか?

また新しいニュースになりますが、パニック値報告を怠った事で書類送検された

事例もあります。事例を下記に示します

 

“ 検査報告遅れ男児の容体悪化、病院 職員を書類送検.

神奈川県海老名市の海老名総合病院(469床)で2013年、当時3歳の男児の

血液検査結果を 担当医に速やかに伝えず、男児の病状を悪化させたとして、

県警は臨床検査科の責任者だった 女性職員(48)を業務上過失傷害容疑で

横浜地検に書類送検した。 捜査関係者らへの取材で分かった。男児は重い脳障害を

負い、8歳になった現在も寝たきりの状態が続いている。

 捜査関係者らによると、男児は13年1月31日に高熱を出して入院。病院が外部の検

査機関に 血液検査を依頼し、土曜日だった2月2日午前、髄膜炎などを引き起こす

「グラム陽性球菌」の 陽性反応が出たとする検査結果を、臨床検査科のスタッフが

ファクスで受け取った。 しかし、この検査結果がすぐに伝わらず、担当医は別の病気を

疑って抗菌剤の投与を中断。  男児は週明けの同4日に容体が急変し、髄膜炎による

脳障害を発症して、四肢にまひが残った。  男児の父親が県警に告訴していた。

 臨床検査科は、各種の検査結果を診療科ごとに振り分けて管理する業務などを担当して

いたが、 県警は、緊急性の高い検査結果を担当医に速やかに伝える態勢が不十分だった

ため、  男児が適切な治療を受けられない事態を招き、容体を悪化させた疑いがあると

判断。 責任者だった女性職員を今月12日に書類送検した。  女性職員は調べに

「同様のことが再び起きないようにしたい」と話したという。病院は、翌14年から

検査結果の伝達手順を見直し、各診療科との連絡回数を増やしたほか、電子カルテなども

活用して担当医に結果を直接知らせるようにしたといい、取材に対し、「コメントは控える

が、ご家族には誠意を持って対応したい」としている。

  読売新聞より引用

 

 

 

この事例では髄液中の細菌検出報告を怠った事が原因であるみたいですね

 

施設のパニック値をもう一度確認しようと思います

 

近年は検査技師も訴えられることが多いので用心するとします

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