腎機能指標の重要性
患者の腎機能を正確に評価し、薬物の活性体の尿中排泄率を把握することは非常に重要です
腎機能低下患者では腎機能が低いほど、または薬物(活性体)の尿中排泄率が高いほど、
1回投与量を減量するか投与間隔を延長する必要があります
腎機能を評価する方法として糸球体濾過量(GFR)を測定し腎排泄型薬物のクリアランスは患者の腎機能GFR(mL/min)と相関します
GFR(mL/min)が低下すれば腎排泄型薬物の血中濃度が上昇し、中毒性副作用が起こりやすくなります
臨床的にはクレアチニンクリアランス(Ccr)や推算式が用いられてきました
クレアチニンクリアランスの特徴
Crは尿細管で分泌されるため,CCrは若年者ではGFRより30%高めに推算されます
CG式による推算CCr×0.789でGFRとして評価します。CCrは肥満患者で高めに推算ます
*検査部からの報告によるCCrの場合には1.73m^2で標準化されている場合があるため
CCrの1.73m^2による補正値は参考値となります
クレアチニンクリアランス(CCr)の問題点
算定式に必要なのは血清クレアチニン値,年齢,性別に加えて体重が必要.
高齢者等では,体内のクレアチニン量自体が低下する事で
血清クレアチニンのベース値が低くなるが腎機能が低下しても血清クレアチニンは容易に上昇しない
Ccr検査は保険点数がなくなり、現在では日本腎臓学会が提唱する日本人による推算GFR(eGFR)が一般的に使用されています
一般臨床では血清Crが用いられるますが,年齢,性別の情報を含んだGFR推算式の使用が有用です
eGFRとCcrの違い
eGFRとCcrの違いは3つあります
・推測精度の違い
・単位の違い
・使える場面の違い
クレアチニンから計算するEGFR
・標準化eGFR:体表面積補正eGFR(mL/min/1.73m2):CKDの重症度分類では用いる
※血清クレアチニン値,年齢,性別より算出
・個別eGFR:体表面積未補正eGFR(mL/min):(固定用量の)薬剤処方の場合にはこちらを用いる
※血清クレアチニン値,年齢,性別に加えて身長,体重より算出
個別eGFR(腎排泄の薬物投与設計に用いる)
標準化eGFR(mL/min/1.73m2)はCKD重症度分類に使うためのものであり、薬物投与設計には使わない。
薬物投与設計には個別eGFR(mL/min)を使う。例外的に、抗菌薬・抗がん薬などで投与量がmg/kgやmg/m^2となる場合は標準化eGFRを使う
eGFRcysの特徴
血清シスタチンC値は筋肉量や食事・運動の影響を受けにくいため、血清クレアチニンによるeGFRの信頼性が低いと思われる場合に有用です長期臥床例や小柄な高齢女性、アスリートや運動習慣のある高齢者などではeGFRcysがより適切となります
逆に、シスタチンCは進行した腎障害では正確に反映せず、妊娠やステロイドなどの薬剤投与で影響を受けます
より正確なGFRが必要な場合にはeGFRとeGFRcysの両方を測定・算出し平均値を用いると正確度が改善するといわれています
18歳以上に適用され、小児の腎機能評価には用いません
筋肉量の少ないるい痩患者、筋肉量低下をきたす病態や妊娠、尿崩症などにeGFRcreatや推算CCrなど、血清Cr値を基にした推算式を使うと過大評価してしまう
過大評価する度合いはeGFRcreatで顕著なため、後期高齢者が罹患しやすい院内感染症やがん末期などの
フレイル・サルコペニア症例には、eGFRcreatよりも推算CCrのほうが適していることがある
血清Cr値が0.6mg/dL未満の高齢フレイル・サルコペニア症例の場合、腎機能推算式の血清Cr値として0.6mg/dLを代入するラウンドアップ法を用いると予測性が高くなることが多い
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