臨床検査技師の仕事内容を現役臨床検査技師が詳しくお話しします

2021年2月11日木曜日

キャリア形成 マネージメント 情報 臨床検査技師になりたい 臨床検査技師の日常

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臨床検査技師の仕事内容を現役臨床検査技師が詳しくお話しします


臨床検査技師の仕事内容と言った記事は就職支援サイトや資格取得サイトにしか書いておらず、現場で働く技師の方の経験に基づいた話を詳細に記載したサイトがありません。そこで20年近く働いている現場の臨床検査技師が実際の臨床検査技師の仕事内容(主に検体検査)や勤務先、やりがいなど臨床検査技師の仕事内容に関する話をしてみます。

臨床検査技師の役割


臨床検査技師の役割は、患者さんの血液、尿、糞便、組織、細胞ないし患者さんそのものの生体データを分析して医師に報告すると言った役割があります。
臨床検査技師と放射線技師との違いは、

臨床検査技師は基本的にRIを原理とした分析以外は放射線を用いた作業は行えません。放射線技師はCTやMRIなどを取り扱います。一応臨床検査技師もMRI撮影は許されてますし、国家試験にも出題されております。MRIに関しては殆ど放射線の方がやってますが、施設によっては臨床検査技師の方がされる場合もあります。逆にエコーは臨床検査技師の方が多いですが、放射線技師の方がされる施設もあります。

臨床検査技師になる方法と学生生活


臨床検査技師になるには国家資格である臨床検査技師国家試験に合格する必要があります
国家試験受験のためには受験資格を得るため、臨床検査技師養成課程に入る必要があります
放射線技師か臨床検査技師になるか悩まれる方も多いと思います。放射線を使う意味合いから、放射線技師になるのを親から反対されて臨床検査技師になった女性の方も割と多く存在します。
臨床検査技師の学校の選び方としては、専門学校、夜間学校、大学、自衛隊の養成課程と学校は県に1〜2校はあります。

学費もピンキリで1番安いのは自衛隊の養成課程で、国公立大、専門学校•私立大学の順に高くなります。
学費の問題もありますが、
“学校を選ぶときは可能な限り、行けるレベルの中で最も偏差値の高い学校を選べましょう”

働き出しても勉強する必要がありますので、勉強する習慣づけが必要となります。基礎学力は高いに越した事はありません。それと個人的意見ですが、経済的に可能なら大学院まで出てた方が良いです。

自分は国公立大卒でしたが同級生は女子の比率が高く、国公立大だったせいもありますが、なりたくてなった人より、なんとなく臨床検査技師になった人、医学部や薬学部に落ちた人も結構多かったです。学生生活は理系の学部の忙しさ+国家試験の勉強でしたので結構忙しかったです。

臨床検査技師の仕事内容


臨床検査技師の仕事内容は医療の世界では医者や看護師などと比べると、はっきり言えば地味です。
地味な仕事だけど病気の診断や、経過観察、薬の投与量決定には欠かせることは出来ません

臨床検査技師は患者さんの生体データを調べ報告する仕事ですが、検査内容に応じていくつかのカテゴリーに分けられます

一般検査


患者さんの検尿や検便、髄液の分析を行います。

血液検査


ヘモグロビンなど貧血の検査、血液サラサラ具材を見る凝固系検査、白血病や悪性リンパ腫診断の契機となる末梢血や骨髄の顕微鏡検査を行います

輸血検査


輸血に必要な血液型検査、血液製剤が投与できるかを判断するクロスマッチ、輸血製剤の適正な管理業務があります。

生化学•免疫検査


肝機能、腎機能、炎症、電解質バランス、腫瘍マーカー、感染症の抗体検査を自動分析装置も用いて分析します。

病理•細胞診検査


病理業務は手術で摘出した臓器や生検組織より病理組織標本を作製ならびに管理します。
細胞診検査は婦人科検診や気管支鏡、手術で採取された腹水などから悪性細胞が無いか顕微鏡でチェックします

微生物検査


血液や便、痰や尿から感染症の原因となる菌の有無を調べます。また病原菌が見つかった場合は、どの薬剤が効果的かであるかを調べます。

遺伝子検査


遺伝子検査では主にPCR法を用いて、 
•悪性腫瘍の診断のための遺伝子検査
•薬剤選択のための遺伝子検査
•病原体の確認のための遺伝子検査
を行います。


近年では新型コロナウィルスでPCR検査を耳にすることが多かったと思います。病院では臨床検査技師が主にその仕事を担ってます。細菌検査の方が担当することが多いです。

一般生理検査


心電図検査、血管年齢検査、肺活量検査、脳波検査などが該当します

エコー検査


エコー検査=超音波検査です
心臓エコー検査、腹部エコー検査、乳腺エコー検査、甲状腺エコー検査、頚部血管エコー検査などがあります。

臨床検査技師が活躍する職場


臨床検査技師が検査の仕事を行なっている職場は
•病院/クリニック
•役所/保健所
•企業
があります。
病院で働く場合、大人業務内容は検体検査、生理検査などの担当となります。
また企業で勤務する場合は、試薬の品質管理や営業、学術活動が主な仕事となります。

民間病院で検査技師として働くメリットデメリット

民間の病院やクリニックに勤務した場合、就職から定年退職までずっとその病院勤務となります。部門も定期的なローテーションはあるでしょうけど人のの入れ替わりは少ないです。
長年同じ仕事ができるというメリットはありますが、教育や研修制度がしっかりしていなかったり、上司や部下との性格が全く合わくてもどちらかが退職でいなくなるまで、我慢せねばならないというデメリットが存在します

転勤のある勤務先で臨床検査技師として働くメリットデメリット

一方で県などの地方自治体や国立病院に臨床検査技師として勤務する場合は、数年おきに勤務施設も変わりますし、配属部門も大幅に変わる可能性があります。
また行政職や保健所勤務など勤務形態も多彩です。ただ転勤制度があるので結構引っ越し貧乏になりますし、資格の維持は非常に大変です。
臨床検査技師として、病院以外の仕事もしてみたい、検査だけでは飽きる場合、人間関係が合わなかったら怖い場合は転勤制度があり定期的に人が入れ替わる国公立系の病院勤務や企業勤務を選ぶことをオススメします。

特に嫌な上司や部下が3年もすればお別れできるのは非常にありがたいです

臨床検査技師の1日のながれ


大規模病院で検体検査に従事する場合 大体の日常的な流れになります
・起床 6時
・出勤 7時~7時半
・昼食 12時~13時
・勤務終了 17時15分
・職場にて勉強とか事務作業 ~19時
・帰宅 19時半
・就寝 24時
※夜勤は17時15分から翌朝の8時半までとなります
実際には朝の立ち上げ当番者が精度管理や試薬補充などの始業前点検を行い、8時半の業務開始時には外来採血検体を測定出来る状態を作らねばなりません。
資格の本には臨床検査技師の業務開始課は8時半に機械立ち上げとなってますが、あれは間違いです。
係長(主任)クラスでは勤務終了後に職場で若者と雑談したり
資料作成や技師会活動や学会発表の準備を行います

担当する部門でも勤務時間に差があります
生理検査では対人的な仕事になりますので早く帰れますが、昼休みが不安定になります
病理検査や細菌検査では朝の立ち上げと精度管理業務がありませんので
出勤時間は若干遅くなります
スタートも若干遅いですが、夕方に検体提出が多いので終了時間も遅くなります
生理検査や病理検査では基本的に時間外に呼ばることは少ないですが
検体検査担当責任者の場合
・機器トラブル
・システムトラブル
・データの解釈
・外部委託検査に関して
等の理由で自宅の電話や携帯が鳴って対応をせねばなりません

土日は勉強会や当番がありますので、月に2~4日は休日がつぶれることはザラにあります

臨床検査技師の年収と月収とキャリアアップ


これから臨床検査技師になりたいと思う高校生、中学生、予備校生、大学生は臨床検査技師の給料がいくら貰えるか気になると思います。施設によりまちまちですが、国立病院の給与が大体の目安にしやすく、資料も入手しやすいです。
給与等 国立病院機構職員給与規程では次のとおり支給されます。
・短大・専門学校卒 174,900円~
・大学卒 186,100円~
・大学院卒 198,700円~
・特殊業務手当 16,000円

公務員や準公務員の勤務先では国立病院の公開している給料をベースに考えれば
考えやすいし間違えはありません。
大体これ前後の基本給だと思います。

また国税庁の民間給与実態調査によると臨床検査技師の年収の平均年収は461万円ほどで、
日本人の平均年収436万円より、わずかに多いだです。
同じ医療系資格の放射線技師や薬剤師に比べると、50〜100万円ほど低い数字になっています。

月収は当番の手当てや超過勤務手当が出ますが、年金や税金などの引かれものを
差し引きすると月収とトントンとなります

検査技師の配属部署でも月収は変わってきます
検体検査部のみでの勤務と病理部のみでの勤務の場合病理部で当番に入らなくていい場合は
月に2~3万円程度の差が出ます
病理部門では解剖待機制度のある施設もありますが、検体検査の手当てと比べると微々たるものです

臨床検査技師のキャリア形成


臨床検査技師のキャリア形成も施設によりまちまちですが、
病院勤務の場合
•1〜3年目 検査室の基本的な技術の取得と認定資格取得
•3〜10年目 学会発表などを行う
•10年目〜 係長としての部門管理
•20年目〜 技師長としての検査室の管理
とざっくりと言ったキャリア形成となります
資格取得で手当がつく場合もありますし、昇任の基準となる場合もあります。
また認定資格を取ったり勉強会に積極的に参加することで、知人が増え転職に有利に働く場合もあります。
やりたい事が出来る施設、勤務条件がある施設に移りたい場合は積極的に認定施設を取ることが良いです。

臨床検査技師の開業


コメディカルでも理学療法士や歯科技工士は開業する事が可能です。
臨床検査技師の開業に関して言えば
開業するのは不可能と言うか困難です。
臨床検査技師として開業する場合資本金を元にして医師を雇いクリニックや検査センターを開業する、試薬会社を作る、SEを雇いシステム会社を作ると言った方法があります。開業を考えたい場合、臨床検査技師はオススメしません。

臨床検査技師のやりがい

臨床検査技師の仕事とやりがいですが、経済的に考えた場合平凡なサラリーマン年収で起業とか出来ず、大幅な収入アップは見込めないため経済的にはやりがいは一切感じられません。病院幹部になれば年収も良いのでしょうけど、臨床検査技師で登り詰めても技師長止まりです。
どんなに給料が良くても1000万円くらいではないでしょうか?
経済的にはやりがいはあまり感じませんが、人の役に立つという意味ではやり甲斐はあります。

例えばパニック値の検査データを医師に報告した後に、その医師からお礼を言われる場合や、委員会とかでの業務内容で重宝される場合はやりがいを感じます。また地方技師会や地方学会で発表や委員をした場合に他施設の方からも感謝されると少なからずやりがいは感じます。

最終的に自分が思う臨床検査技師の仕事のやりがいは、患者さんや他の医療スタッフのために誰かの命のために役に立つ仕事であると言うことがやりがいだと思います。

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