寒冷凝集反応の検査方法と意義

2021年8月29日日曜日

血液学的検査 生化・免疫学検査

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寒冷凝集素は寒冷凝集素は自己免疫性溶血性貧血(寒冷凝集素症)の原因となる冷式自己抗体です。

     寒冷凝集素症の診断基準

症状:寒冷暴露による貧血、血色素尿、四肢末梢チアノーゼ、レイノー現象

検査所見

・貧血:正球性正色素性、凝集により異常なMCHC値が出る

末梢血塗抹標本で赤血球の自己凝集

・寒冷凝集素高値

・溶血所見:網状赤血球増加、間接ビリルビン増加、ハプトグロビン低下、尿中および便中ウロビリン体増加

・骨髄検査:赤芽球増加

・直接抗グロブリン試験陽性:補体成分が検出

通常IgM型を主体として、伝染性単核球症の際には多クローン性のIgM抗体が出現します。また寒冷凝集素は悪性リンパ腫やレイノー症候群、発作性夜間血色素尿症などでも認められます。 

寒冷凝集反応とは


寒冷凝集反応は、患者血清から寒冷凝集素の検出しと凝集素価を求めるための検査です。

寒冷凝集素の証明のために寒冷凝集反応が簡単に実施できることから検査室で良く利用されます。

寒冷凝集反応検査手順

1.必要なもの

・患者血清

・O型ヒト赤血球

・生理食塩水

2.血球浮遊液の調整

O型のヒト血液を生理食塩水で三回洗う。最後に3000rpm5分の条件で遠心分離し生理食塩水で0.25%浮遊液を作成する。

3.検査手順

1)希釈系列の作製

No

生理食塩水(μl)

0,75

0.25

0.25

0.25

0.25

0.25

0.25

0.25

0.25

血清(μl)

0.25

0.25

0.25

0.25

0.25

0.25

0.25

0.25

0.25

血球(ml)

0.1

0.1

0.1

0.1

0.1

0.1

0.1

0.1

0.1

倍率

16

32

64

128

256

512

1024

 


2)4℃の冷蔵庫で一晩保存し翌朝判定する

冷凝集反応判定基準

64倍以上を陽性とし、反応陽性の場合は37℃30分加温して凝集が消えることを確認します

寒冷凝集反応の臨床的意義

寒冷凝集素は健常人でも認められる。マイコプラズマ肺炎では重症例の75%程度、計症例の30%程度は認められる。その際の寒冷凝集素価は発病一週目から現れて、2~4週間で最高となる。

また開心術のような体外循環路を用いる手術では周術期の赤血球凝集や溶血の原因となり術前に検査される場合があります。人工心肺を使用する手術では周術期の赤血球凝集反応を予防するため、心肺管理や心筋保護には工夫が必要となります。

“麻酔中の注射薬や血液製剤はホットラインを介して投与する、体外循環回路の充填液は送血直前まで36に加温する、心筋保護液は加温血液心筋保護液を使用するなどの対策を講じ、直腸温を36以上に維持した”といった症例報告があります。

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