モニタリング際のAPTTの目標値
APTTは内因系の凝固を反映し、各種疾患やヘパリンの投薬のモニタリングのために測定されております。
PT-INRはワーファリンの管理指標としと用いられ、2.0~3.0がガイドラインで推奨されています。
ヘパリン投与時のAPTTの目標値は、ヘパリンの投与法注射開始 3時間後から,2~4 時間ごとに活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を測定し,投与前の 1.5~2.0 倍になるように投与量を調整する。
また日本本血栓止血学会の肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドラインでは、用量調節未分画ヘパリン療法として、正常上限で維持管理すると記載されている。
循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン」にて、正常対照とのAPTT比が 1.5~2.5 倍程度となる秒数範囲を治療域としています。ヘパリン抵抗性がみられる際は、ヘパリンの抗凝固効果が十分に認められず,APTT を 1.5 倍に延長するために 35,000 単位/ 日以上のヘパリンを要します.
またヘパリンの反跳現象が生じた際はプロタミン中和後の APTT の再延長をきたします。
APTTにおけるヘパリン感受性の違い
APTT の測定方法は標準化されておらず,活性化剤とリン脂質の組成の違いによる試薬間差が生じることが知られています。
このため試薬の未分画ヘパリン感受性は多様で、凝固因子やヘパリンなどに対する感受性について試薬の特性をよく理解し使用することが必要とされます
現在市販の既知濃度ヘパリン添加血漿を利用した「APTT 試薬/機器」の組み合わせによる性能評価を視野に入れる必要があります。
APTTのヘパリン感受性試験で必要なもの
・正常血漿
・注射用ヘパリン
正常血漿はコントロールの正常領域のものを使用します。注射用ヘパリンは、
院内で使用しているものを入手します。
薬剤科の方に相談して入手すればよいでしょう。
APTTのヘパリン感受性試験の手順
ヘパリン感受性試験は、希釈系列の作成行った後にAPTTを測定し、評価するといった流れになります。APTTは比較したい試薬毎に測定する必要があります。
1) 正常血漿の調整:正常域のコントロールを調整する
2) ヘパリンの調整:最大濃度が1単位となるよう調整する
3) 希釈系列の作成
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0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
血漿 |
0 |
100 |
200 |
300 |
400 |
500 |
600 |
700 |
800 |
900 |
1000 |
ヘパリン |
1000 |
900 |
800 |
700 |
600 |
500 |
400 |
300 |
200 |
100 |
0 |
4)グラフの作成と評価
APTTのヘパリン感受性試験の結果解釈
APTT測定値が試薬間で20%以上の差が認められた場合を、感受性の差があると解釈します
さいごに
APTT測定試薬のヘパリン感受性試験の手技と解釈方法を記事にしてみました。
基本的には機器更新時や試薬変更時に行う内容ですが、
気になった方は、手技も簡単ですので一度試してみてください。
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