遊離ヘモグロビンの臨床的意義
遊離ヘモグロビンは血清(血漿)ヘモグロビンともいわれております。溶血性貧血や血管内溶血を呈する疾患や状態、程度を推定する際に測定されます。
遊離ヘモグロビンは基本的にハプトグロビンが血液中に十分ある場合や軽度な溶血の場合は、血液中のハプトグロビンに処理され、血液中には遊離ヘモグロビンは検出されません。一方で輸血等の何かしらに要因により高度の溶血が生じた場合、ヘモグロビンが大量に放出され血液中のハプトグロビンは消失し、処理出来ない過剰の遊離ヘモグロビンが血液中に残ります。
人工心肺の合併症には人工心肺関連急性腎障害(acutekidneyinjury-cardiopulmonarybypass:AKI-CPB)があり、要因の一つに血漿遊離ヘモグロビン(plasmafree-hemoglobin:PF-Hb)の腎毒性があげられる。特に体外循環開心術における腎障害体外循環開心術後の腎不全は、腎虚血と腎毒性物質が複雑に絡み合い発症すると考えられています。血液中の遊離ヘモグロビンは容易に腎臓の糸球体を通過し、尿細管上皮細胞に取り込まれてヘムとグロビンに分解されます。このヘムは尿細管上皮細胞に対して毒性を示し、尿細管性の腎機能障害の原因となります。腎機能障害が生じた際はハプトグロビン製剤を投与したら、過剰の遊離ヘモグロビンを肝臓に運び処理され溶血に伴う腎障害を抑制されます。
遊離ヘモグロビン測定時の検体
・尿
・血漿
遊離ヘモグロビンの測定方法
また臨床から測定できないか調べてみたのですが、汎用の生化学分析装置や、CBC分析装置では検出する事ができません。また遊離ヘモグロビンンの測定方は大手検査センター(SRL,BML、LSIなど)では実施しておりませんでした。BMLでは2018年に委託中止となっていました。ラジオメーターのABL800と比較した文献はありますが、検出感度などHemoCueの代替えとならないそうです。検査室で使用・分析するというよりかはMEの方が現場で使用するPOCT的意味合いが強そうです。人口心肺を稼働させているときに値を知りたいわけですから、外注ではタイムラグがありすぎます。市販されている測定機器で最も入手しやすいものはHemoCueとなります。測定を考えられた方や、要望や問い合わせがあった場合はラジオメーターの営業担当者さんに一度、確認することをお勧めします。
遊離ヘモグロビンに関する資料
・天性心疾患における人工心肺中の血漿遊離ヘモグロビン管理と腎保護効果
―HemocueⓇの測定値を指標としたハプトグロビン製剤の投与戦略―(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jject/44/1/44_7/_pdf)
・体外循環下開心術における溶血反応に伴うヘモグロビン血症(https://www.jbpo.or.jp/med/di/include/hap/data/treatment_hap.pdf)
・Hemocue(https://hemocue.radiometer.co.jp/)
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