血清浸透圧の基準値
血清浸透圧は体液の濃縮・希釈の状態を知ることが出来き、基準値は血清、血漿で値が異なります
(血清)270~295mOsm/l
〈血漿〉280~290mOsm/l
疾患との関係
高値:ADH分泌低下, GFR低下, demecrocycline, アルコール, マニトール, 高血症, 真性尿崩症, 腎疾患, 尿細管疾患
低値:ADH分泌過剰, SIADH, 腎不全, 腎不全末期, 浮腫
浸透圧の異常を認めた場合は上記疾患である可能性が高くなります
“引用 SRL検査総合案内、シスメックスプライマリケア”
浸透圧測定方法
血清浸透圧の求め方には専用の分析装置を利用する方法(氷点降下法)と計算式から求める方法がある。
氷点降下法とは
水溶液の氷点はモル濃度によって異なります。水溶液を徐々に冷却していっても氷点以下となっても過冷却状態となります。機械的刺激を与えると溶液が氷結します。この時の氷点から溶液のモル濃度を求める事で浸透圧が分かります。“アークレイHPより引用”
血清浸透圧の計算式とは
浸透圧はナトリウム、血糖値、尿素窒素(BUN)から計算で求める事が出来る
浸透圧=2×ナトリウム値+血糖値÷18+血糖値÷2.8
大まかに言えば浸透圧はナトリウム値のおおよそ2倍です。測定機器の無い場合は検査システムで計算できるようになっている場合もあり何といっても計算式の長所は機器を要さない事です
浸透圧測定法間差の原因
ナトリウム値が高い時、BUNや血糖値が高い場合は氷点降下法より値が高くなるが、
時に計算式と氷点降下法で浸透圧の値が異なる場合がある
これを“浸透圧ギャップ”と言う。
電解質異常や意識障害の原因究明の手掛かりとなり、実際に求める場合は
浸透圧ギャップ=氷点降下法-計算式 で簡単に求められます
浸透圧ギャップが発生する原因物質を下記に記す
・エタノール
・メタノール
・グリセリン
・マニトール
氷点降下法は全ての物質から出るのに対し計算式の場合3項目から求めているので仕方のないことであると思われます。
こんにちは。北海道で臨床検査技師をしているものです。
返信削除血清と血漿の浸透圧の違いについて調べておりましてこちらの記事を拝見いたしました。
というのも、当院では血清のみで浸透圧を測定する運用で、血漿で測定できればヘパリン血漿での診療前検査に追加検査できるなど、使用できる検体の幅が広がります。
血清と血漿の浸透圧差についての文献がなかなか見当たらなかったものですから、こちらの記事が調査の手がかりになるのではないかと思いご連絡いたしました。
血清浸透圧は体液の濃縮・希釈の状態を知ることが出来き、基準値は血清、血漿で値が異なります
(血清)270~295mOsm/l
〈血漿〉280~290mOsm/l
まず、こちらの血清と血漿の浸透圧の基準値の差についてですが、血清の方が凝固因子等の溶質が少ないため、基準値は低めになるのではないかと考えておりました。
また、筆者様の施設では浸透圧の測定には血清と血漿のどちらあるいは両方を使用しているか、その理由についても
血清浸透圧と血漿浸透圧についての文献が見当たらなく、こちらを発見しまして、ご連絡させていただきました。当院では浸透圧を血清で測定しておりますが、血漿での運用も検討しています。しかし、文献で血清と血漿での浸透圧の測定差についての文献が見当たらない状況でした。そのような文献や情報探しのきっかけになる情報など、お聞きできれば幸いでございます。
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