ERCP後に膵炎を起こすことがある
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)内視鏡を使用し胆管や膵管検査を行いの膵癌の診断に有用な検査であるが、ERCP後に膵炎を起こすことがある。
このERCP後膵炎だがERCP後に急性膵炎を発症する頻度は0.1%で重症化した場合の死亡率は10%である。造影剤の膵管内注入、カニュレーション刺激による乳頭浮腫、乳頭括約筋痙攣による膵液の流出障害(膵管閉塞)の結果、膵管内圧上昇や血流障害などを発生させることで引き起こされる。
ERCP後膵炎のリスク
・カニュレーション時間10分あるいは15分以上はRCP後膵炎発症リスク
・ERCP後膵炎の発症と膵管造影の関係に関しては膵管造影・主膵管造影がリスク因子との報告がある
ERCP後膵炎の診断基準
ERCP後膵炎は検査後2~4時間以内(少なくとも24時間以内)に発症する。ERCP後膵炎における明確な診断基準はないが、急性膵炎の診断(上腹の急速な部痛痛と圧痛)で膵酵素の血中の濃度上昇、CTやエコー上で急性膵炎の像を呈するがERCP後というのがポイントである。
ERCP後膵炎の診断に望ましいマーカー
急性膵炎の診断にはリパーゼやアミラーゼ、尿中トリプシノーゲン2等がある。各研究やガイドラインではアミラーゼよりリパーゼの方が有用であったと報告されている。リパーゼと感度は同等であるが特異性に優れているため推奨度は高い。尿中トリプシノーゲン2は試薬キット化されていない。アミラーゼを扱っている検査室が多いのが現状である。
アミラーゼはすい臓や唾液腺から分泌される酵素である。血中のアミラーゼ測定は膵炎の診断に有用である。おさらいだがアミラーゼの基準値や疾患との関係を下記に示す
・アミラーゼ基準値:60~190U/l
・アミラーゼ高値:膵炎、膵癌、急性アルコール中毒
・アミラーゼ低値:糖尿病、膵癌
ERCP後膵炎予防ガイドライン2015では急性膵炎の診断にはリパーゼがアミラーゼよりも有用であると報告されるが緊急検査体制からはアミラーゼが現実的には用いやすいと記載している。
ERCP後のアミラーゼの検討ではERCP施行後3時間後のアミラーゼ値が正常の3倍以上を示した例の膵炎発症頻度は21%で3倍以下の発症率に比べて優位差が認められたお報告されている(P<0.001)時間やカットオフ値の倍率を検討した報告があるが優位差は認められていない。このため正常値の2~3倍、ERCP施工後2~6時間の間で測定するのが望ましい
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