栄養状態と血液検査3 CONUTとデータの見方のコツ

2017年10月13日金曜日

血液学的検査 生化・免疫学検査 輸血検査

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血液検査と栄養状態 その3  と言うことでCONUTとデータの見方のコツの話をさせてもらいます

栄養アセスメントとCONUT

栄養アセスメントは、身体計測、身体徴候、臨床検査値、食事調査などから得られた情報を基に行われる。栄養状態の評価方法の一つにCONUTcontrol nutritional atatus)というのがある。これは一般的な血液検査である、血清アルブミン、末梢リンパ球、総コレステロールをスコア化して算出した値で栄養状態を評価する方法でスコアが大きいほど栄養状態が悪い

COUNT評価表
 
正常
軽度異常
中度異常
高度異常
数値
スコア
数値
スコア
数値
スコア
数値
スコア
ALB
 ≧3.5
0
3-3.49
2
2.52.99
4
2.5
6
リンパ球数
1600
0
1.21.59
1
8001199
2
800
3
T-cho
180
0
140179
1
100139
2
100
3

栄養不良レベル
正常~軽度異常
中等度への移行期
中度異常
高度異常
合計スコア
03
4
5~8
9

褥瘡とCONUTの関連性は


“引用 杉森英里  今里由香 NST 活動における有用な栄養評価法の模索 医学検査Vol58 No8 2009

COUNTスコアが5以上の患者はスコア03の患者に比べて褥瘡発生率が高い

MRSACOUNTの関連性も報告があり

“引用 杉森英里  今里由香 NST 活動における有用な栄養評価法の模索 医学検査Vol58 No8 2009

スコア5以上の患者群ではスコア4未満 の患者よりも有意にMRSAを保菌していた


臨床検査値はその時々の患者の状態を良く反映し多くの情報を得られるが栄養状態だけでなく、他の病態、病状により変動する臨床検査値の結果解釈をする上でのポイントを下記に示す

解釈をする上でのポイント

  ① 生理的変動要因
  ② 検査項目の持つ特性による変動要因
  ③ 患者の病態による変動要因
  ④ 検体採取方法や処理方法による変動要因
  ⑤ 測定方法による変動

① 生理的変動要因
立位採血と臥床採血
ALBTTRは座位では臥床採血に比べ約10%高値を示す
  血管外の水が血管外に移行することで起こるため「臥位<座位<立位」の順に高くなる
LDHDLLDLは外来時採血が入院時採血より5%高値となる(腎血流量の変化のため)

②日内変動のある項目(値が高い時間と低い時間がある)
 ・Fe 朝に髙く夕方にかけて低下する(20-70μgの変化)
 ・IP 朝低く夕方から1mg/dl増加する
・血糖、TG、インスリン : 食後に増加
・カリウム : 食後に低下(インスリンにより血糖と共に細胞内に取り込まれる)

③ 検査項目の持つ特性による変動要因
1) 正の相関の例 
  ALBTTR
 ・ 炎症や感染症があると低下する
 ・ 炎症や感染症が治まると回復する
2) 負の相関
  ALBCRP
 ・ 炎症や感染があるとALBは低下し、CRPは上昇する  
  ※ 評価にはCRPも同時に観察する必要がある。
検査値の上下が栄養状態の変化によるものか、
炎症の改善・悪化によるものなのかをみる必要がある
④ 患者の病態による変動要因
) 患者の脱水による変動    →  輸液により変動する
) 合成と異化と漏出のバランス
 肝機能低下(合成低下)、腎機能低下(漏出)、低栄養(吸収低下)によって
アルブミン値は低下する
) 体内の存在様式による変動

病態を捉えてデータを解釈することが重要となります

“引用 静脈経腸栄養 Vol. 27(2012) No. 3 . 臨床検査技師の立場から ―栄養評価のために知っておきたい臨床検査値の変動要因
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/27/3/27_903/_pdf

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