試薬の直線性とは
試薬の直線性とは 測定試薬の直線性の評価はざっくり言えば使用する試薬が高濃度域まで測定できるかを確認するためのものである。臨床化学検査にて測定試薬キットを用いて自動分析装置で測定するときの測定値を物質の濃度系列を用いて行う比例性の試験法の事で 測定において実試料中の目的成分が定値から高値まで比例的に測定されているか確認することが重要である。手順などを下記に示す。
試薬の直線性とは
試薬の直線性とは 測定試薬の直線性の評価はざっくり言えば使用する試薬が高濃度域まで測定できるかを確認するためのものである。臨床化学検査にて測定試薬キットを用いて自動分析装置で測定するときの測定値を物質の濃度系列を用いて行う比例性の試験法の事で 測定において実試料中の目的成分が定値から高値まで比例的に測定されているか確認することが重要である。手順などを下記に示す。直線性試験(低値)の手順
希釈倍数
(%)
|
測定値
|
平均値
|
回収率
%
| |
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
20
|
2.24
|
2.15
|
2.195
|
67.5
|
40
|
6.28
|
5.82
|
6.05
|
93.1
|
60
|
9.25
|
9.32
|
9.285
|
95.2
|
80
|
12.76
|
12.71
|
12.735
|
97.9
|
100
|
16.79
|
16.37
|
16.58
|
102.0
|
直線性試験(高値)の手順
検体(μ)
|
0
|
50
|
100
|
150
|
200
|
250
|
300
|
350
|
400
|
450
|
500
|
希釈液(μ)
|
500
|
450
|
400
|
350
|
300
|
250
|
200
|
150
|
100
|
50
|
0
|
濃度(%)
|
0
|
10
|
20
|
30
|
40
|
50
|
60
|
70
|
80
|
90
|
100
|
回収率の求め方
希釈倍数(%)
|
平均
|
0
|
0.1
|
10
|
515.8
|
20
|
1050.4
|
30
|
1611.5
|
40
|
2100.8
|
50
|
2749.1
|
60
|
3274
|
70
|
3899.1
|
80
|
4333.9
|
90
|
4844
|
100
|
5201.5
|
希釈倍数(%)
|
④ 希釈倍率×③
|
④で求められる値
|
0
|
529.1 × 0
|
0.0
|
10
|
529.1 × 1
|
529.2
|
20
|
529.1 × 2
|
1058.4
|
30
|
529.1 × 3
|
1587.5
|
40
|
529.1 × 4
|
2116.7
|
50
|
529.1 × 5
|
2645.9
|
60
|
529.1 × 6
|
3175.1
|
70
|
529.1 × 7
|
3704.3
|
80
|
529.1 × 8
|
4233.4
|
90
|
529.1 × 9
|
4762.6
|
100
|
529.1 × 10
|
5291.8
|
直線性試験のコツ
引用資料
試料 : 精度管理試料(低値)
手順
1) 5段階に希釈系列を作製する
2) 1)で作成した希釈系列の試料は各々2回以上測定する
※BUNの例
※低値直線性グラフ
試料の調整 : 測定物質を溶媒で希釈し原液(10/10)を調整する
試料の希釈・測定
1) 調整した原液を1/10 2/10・・・・10/10となるように10段階希釈系列を調整する
2) 1)で作成した希釈系列の試料は各々2回以上測定する
※測定は3重測定している方が良い
3)得られた値の平均値をプロットする
※高値直線性グラフ
4)回収率を基に判断する
高値直線性を取る際は回収率を求める必要がある。
希釈系列の2/10、3/10、4/10の平均を基準に求めて
97%以上の回収率以上を直線性の限界としている
回収率の求め方の例
① 各測定値の合計を求める
20%、30%、40%の平均が基準となる
1050.4+1611+2100.8=4762.2
② 希釈倍数の和を求める
2 + 3 + 4 = 9
③ ①を②で割る
4796.2 ÷ 9 = 529.1(基準値となる)
回収率の求め方の例
④ ③の値にそれぞれ希釈倍数をかける
⑤ 回収率を求める = (平均値 ÷ ④の値) ×100 %
・原液濃度の設定は、測定原理から規定される限界と病態生理学的に
どのくらいの濃度まで要求されるかで決める ※やや濃い目に希釈すると良い
・直線性試験を行えない場合はメーカー推奨の値(直線性)の8割に設定する
・メーカーに言えば直線性試料を手配してくれることがある。
・原液濃度の設定は測定原理や病態生理学的に要求される濃度によって決める
また原液の吸光度が2.0~3.0になるように設定する。
・呈色反応の限界や病態生理学的に不要な濃度まで調べる必要はない
・山本慶和, 細萱茂実, 桑克彦, 大沢進, 高木康: 定量測定法に関するバリデーション指
針. 臨床化学 Vol.40, No. 2 , 149-157
・細萱 茂実,直線性の評価と試料希釈誤差補正法,検査と技術、28巻 2号
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