検査値は患者の状態、や栄養状態を反映し、下記項目においては栄養状態の把握に用いられ静的栄養指標と動的栄養指標がある
栄養状態の把握に有用な血液生化学的検査項目
1. 静的栄養指標
血清総タンパク
アルブミン
総コレステロール,
コリンエステラーゼ
末梢血中総リンパ球数
微量元素
尿中クレアチニン
血中ビタミン
2. Rapid Turnover Protein(RTP)
トランスサイレチン(プレアルブミン)
レチノール結合蛋白
トランスフェリン
尿中3-メチルヒスチジン
アミノ酸代謝動態
アミノグラム
特に栄養状態の把握には血清アルブミン値がNSTのスクリーニングなどでは有用である。
◆血漿中のタンパク質の60%がアルブミン
アルブミンは、水に溶けにくい成分を溶けやすくするために結びついて体中に運ぶ役割をし、血液の浸透圧を一定に保ち、血液や組織液の量を調節する働きもしている。
アルブミンは、水に溶けにくい成分を溶けやすくするために結びついて体中に運ぶ役割をし、血液の浸透圧を一定に保ち、血液や組織液の量を調節する働きもしている。
◆ 血漿中のタンパク質の40%がグロブリン
グロブリンの中でも、細菌やウイルスが浸入したときに攻撃する働きがあるものを免疫グロブリンという。免疫グロブリンは「IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類のクラスに分類されている。栄養源、浸透圧の維持、緩衝作用、生体防御反応、血液凝固と線溶、酵素などの機能がある
グロブリンの中でも、細菌やウイルスが浸入したときに攻撃する働きがあるものを免疫グロブリンという。免疫グロブリンは「IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類のクラスに分類されている。栄養源、浸透圧の維持、緩衝作用、生体防御反応、血液凝固と線溶、酵素などの機能がある
血清アルブミンは肝臓で合成され膠質浸透圧の維持や物質の運搬がその役割です。
血清アルブミンは血清総蛋白と同様に脱水で血液が濃縮され高値に、また肝炎などの肝機能低下、消費亢進、感染症などでアルブミン値は低下し栄養不良などの素材不足で低下し栄養不良のリスク 3.0g/dl以下と言われております。
アルブミン値を評価する上でのポイント
1) 侵襲がある場合、まずは侵襲の改善(治療)が望ましくCRPと同時に評価を行うことが必要です
2) 代謝変動が激しい場合、栄養療法開始、変更時の効果判定の際は短期の栄養指標であるRTPを用いる
3) 適正値でも脱水がないかの確認を行う。
何故アルブミン値なのか?
血清アルブミンは臨床栄養療法において最も一般的な蛋白指標なのだが年齢と血清アルブミン値の関係は加齢に伴いアルブミン合成能が低下するため血清アルブミン値の低下を示すので年齢を考慮した上でアルブミン値を捉え、栄養管理に生かすことが重要。“引用 北英士、伊藤弘樹、染矢浩美.血清アルブミン値との関連性の検討~急性期病院における調査から~ 静脈経腸栄養 Vol.25 No6:63-69、2010”
また低栄養症例 内科系 44% 外科系 54%で低アルブミンが認められたとされる。“引用 Brece R.Bustrian,Geoge L.Blackbyrn.J Edwardr dHallowell,et al .Protein status of general surgical patients. JAMA 230 : 858-860,1974“”Brece R.Bustrian,Geoge L.Blackbyrn.Joseph Vitale,et al.Prwvalence of malnutrition in general medical patients.JAMA235 : 1567-1570,1976“
専門機関病院における低栄養症例は33%認められるとされる
“引用 鞍田美貴、今西健二、辻仲利政.入院患者に占める低栄養の割合.中心静脈栄養 17:77-82、2002“
入院時アルブミン値3.5g/dlを基準にしたときの栄養リスクの評価では
3.5g/dl未満
(栄養リスク有)
|
3.5g/dl以上
(栄養リスク無)
|
検定
| ||
年齢
|
(歳)
|
69.6±17.5
|
59.2±21
|
P<0.001
|
在院日数
|
(日)
|
29.7±25.4
|
22.6±20.1
|
P<0.001
|
死亡数
|
(%)
|
20.7
|
2.4
|
P<0.001
|
“引用 北英士、伊藤弘樹、染矢浩美.血清アルブミン値との関連性の検討~急性期病院における調査から~ 静脈経腸栄養 Vol.25 No6:63-69、2010”
平均年齢、平均在院日数、死亡率は入院時における栄養リスクがない群に比べて栄養リスクがある群は有意に高値を示す事が報告されている
入院時栄養リスク
|
無
|
有
|
無
|
有
| |
退院時栄養リスク
|
無
|
無
|
有
|
有
| |
年齢
|
(歳)
|
55.7
|
62.2
|
67.8
|
70.6
|
在院日数
|
(日)
|
23.4
|
26.5
|
27.4
|
28.7
|
死亡数
|
(%)
|
1
|
2.4
|
7.8
|
25
|
血清アルブミン値と発熱頻度及び死亡率との関連においては
ALB値 (g/dl)
|
発熱回数(回/年)
|
死亡率(%)
|
4.1 以上
|
1.8回
|
18.4%
|
3.1-3.5
|
3.8
|
15%
|
3.0 以下
|
5.3
|
41%
|
“引用 池松秀行 高齢入院患者における血清アルブミン値と発熱頻度及び死亡率との関連 感染症学雑誌 第70号 12号 ; 1259-1265”
免疫能の低下から感染症に罹患しやすく難治化・重症化する傾向がありさらに低栄養があると感染に対する抵抗力が著しく減退し、栄養リスクを有するときはリスクが無い場合に比べて平均在院にすう、死亡率は高いため血清アルブミン値は慢性疾患を有する高齢者の生命予後因子にもなる。
※各因子陽性・陰性者の生存日数
陽性
|
陰性
| |
寝たきり
|
30±7.4日
|
108±8.9日
|
食欲不振
|
49±6.9日
|
128±11.8日
|
炎症反応
|
55±7.4日
|
141±13.7日
|
低アルブミン
|
43±8.2日
|
95±9.3日
|
“引用 小川公啓、前畑幸彦、浅野哲一:慢性疾患を有する高齢者の予後因子の検討.日本老年医学会雑誌 1997;34:492-498
”
長期入院者にしばしば見られる状態であり褥創、肺炎、感染症、低栄養の予防管理が重要である
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