吸光度分析における2波長測定

2018年3月23日金曜日

血液学的検査 生化・免疫学検査 輸血検査

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吸光度分析における2波長測定

吸光度分析ではランバート・ベールの法則に基づき分析を行っております

おさらいになりますがランバート・ベールの法則は

A=log(I0/I)=abe と言う数式で表されます

A:モル吸光係数、b:光路長、e:濃度とした場合
光路長が一定なら吸光度Aは濃度eに比例します

臨床検査分野における吸光度分析では既知の物質の吸光度と濃度から、未知試料の濃度を求めます。これはどの吸光度分析においても同じです

1波長で試料を分析した場合、ビリルビンン、乳びなどの共存物質(干渉物質の)影響を受ける場合があります。試薬成分と試料が反応し濁りが発生する場合もあります。



溶血している検体ではモグロビンの赤色(400 nm、575 nmに吸収極大)がビリルビンの黄色(455 nmに吸収極大)の測定に正誤差を与える。この場合455 nmで吸光度を測定するとヘモグロビンに由来する吸光度を測り込んでしまうため、へモグロビンに由来する分の吸光度(B1-B2)を差し引く必要性が出てくる。この吸光度は575 nmの吸光度を近似している事から575 nmと455 nmの吸光度を測定し、455 nmの吸光度から575 nmの吸光度を差し引くとほぼ正しいビリルビンのみの吸光度を測定したことになる。


この場合主波長と副波長を用いた2波長分析によりこれら共存物質による影響を回避する事が出来るだけでなく、セルの汚れや傷などもある程度は回避できます。

2波長分析での分析条件における注意点

2波長分析での分析条件を設定する上で注意すべき点は2つです
・主波長は測定物質の吸収極大を選択する
・副波長は主波長より長波長側の波長を選択しあまり大きく長波長側に傾けてはいけない

2波長を用いた測定系では濁りや溶血などの影響はある程度回避が可能ではありますが完全には回避が出来ません。測定前の検体の肉眼的性状の確認である程度回避できますし、検査結果登録時の血清情報の確認も当たり前の事ですが重要です

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