臨床検査におけるマトリックス効果

2021年1月2日土曜日

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臨床検査におけるマトリックス効果

臨床検査技師で検体検査業務に従事していた場合に時々耳にする事がある
“マトリクス効果”というものがあります。

おそらく30~40歳代の人間にとってマトリックスといえば、かつて流行した映画である映画のマトリクスしか思いつきませんが、臨床検査で一般的に言われているマトリックスは映画ではなく“材料(マトリクス)の種類や組成の違いによる分析への影響”のことを指します

マトリクス効果とは


マトリクス効果は正確には試料中に存在する測定物質以外も物質で測定法に干渉し、何らかの影響をもたらす現象をいい、マトリックス効果自体には外因性要素と外因性要素に由来するものに分けられます。
内因性要因として
ph
・粘性
・たんぱく質濃度
・アイソザイムの変化
・免疫グロブリン結合による分子量増加
 
一方で外因性要素として
・安定化剤
・防腐剤の添加
・凍結乾燥による蛋白変性
・天下酵素の由来
などがあげられます
 
日本医師会精度管理や日臨技などのサーベイ参加時も標準物質(キャリブレーターの)の由来成分を問われることを生化学検査に従事していたらよく経験します。日常的に広く行われている臨床検査における標準物質だけでもヒト血清由来のもの、水溶液、結晶を含む純物質系、ヒト尿,牛血液などの由来成分が存在します。
 
見本として物質の粘度を示しますが


 

流体名   

 粘度

クロロホルム

0.63

四塩化炭素

0.97

クロルベンゼン

1.01

1.01

血清

1.702.00

血漿

1.722.03

全血

4.74♀4.40

グリセリン

1499

 
粘度は物質によって粘度が替わりますので成分の違いが吸引量に影響し結果として分析への影響を及ぼしそうです

マトリクス効果は臨床検査分析の何に影響を及ぼすのか!?

材料(マトリクス)の種類や組成の違い、影響試料組成の違いはマトリックス効果(matrixeffects)により正誤差・負誤差いずれの原因になります。特にドライケミストリー法の測定値には汎用分析器で用いられる溶液法と比較してマットリックス効果による影響が大きく、新鮮な血液での一致率と比較して、特殊血液の場合は乖離傾向にあるようです。マトリックス効果のため、検査室間試験検体及び対照検体の測定値が、他の方法で得られた値と異なる場合があります。このため測定法別の目標値を設定して判定する必要があります。

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