クロライド反応性代謝性アルカローシスの検査データ

2021年1月23日土曜日

一般検査 血液学的検査 生化・免疫学検査

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代謝性アルカローシスとは


アルカローシスは血液のアルカリ性度が高くなりすぎた状態で、血液中の重炭酸塩の過剰または血液中の酸の減少が原因で発生する代謝性アルカローシス
深く速い呼吸により血液中の二酸化炭素濃度が低下して生じる呼吸性アルカローシスとがある。

代謝性アルカローシスの原因

呼吸性アルカローシスは過呼吸により多量の二酸化炭素が血流から放出されるときに起こりますが、代謝性アルカローシスは、体が次の状態にあるときに起こります。
・酸の喪失量が多すぎる(嘔吐)
・入ってくる塩基の量が多すぎる(多量の塩基を摂取)

代謝性アルカローシスの症状

代謝性アルカローシスでは下記のの症状がみられます。
・易刺激性
・筋肉のひきつりとけいれん

代謝性アルカローシスの検査データ(血液ガス分析)


まず一次性変化を決定する(pH,HCO3,PCO2のみで決定).
① pH7.38以下で,HCO3が低下していれば,代謝性アシドーシス.
② pH7.38以下で,PCO2が上昇していれば,呼吸性アシドーシス.
③ pH7.42以上で,HCO3が上昇していれば,代謝性アルカローシス.
④ pH7.42以上で,PCO2が低下していれば,呼吸性アルカローシス.


次に代償範囲内にあるかどうか判定する(急性と慢性でも違いあり).

① PCO2が代償範囲より低すぎれば,呼吸性アルカローシスが併存.
② PCO2が代償範囲より高すぎれば,呼吸性アシドーシスが併存.
③ HCO3が代償範囲より低すぎれば,代謝性アシドーシスが併存.
④ HCO3が代償範囲より高すぎれば,代謝性アルカローシスが併存.
さらに,代謝性アシドーシスの場合はanion Gap(AG)を計算する.
特にAG増大性アシドーシスの場合,(24-HCO3)<(AG-12)のとき,代謝性アルカローシスが併存.
最後に,病歴や臨床徴候と整合性があるか確認する.
※シスメックスプライマリケアより引用

代謝性アルカローシスには以下の2種類があります

Cl反応性:Clの喪失または過剰分泌を伴い通常は,NaClを含む輸液の静注によって是正される。
Cl不応性:NaClを含む輸液の静注では是正されず,通常は重度のマグネシウムおよび/またはカリウム欠乏,あるいはミネラルコルチコイド過剰を伴う。

これら2つの病型は併存することがあり,例えば体液量過剰の患者に投与した高用量の利尿薬が低カリウム血症を引き起こした場合になどにみられます

代謝性アルカローシスの鑑別

代謝性アルカローシスの鑑別はまず尿中クロライド濃度によりクロライド反応性代謝性アルカローシスとクロライド抵抗性代謝性アルカローシスに分類します。
尿中クロライド濃度は循環血漿量を反映する。通常循環血漿量は尿中[Na]やFENaでみることが多い。しかし、代謝性アルカローシス時には尿中[HCO3-]の増加が原因で尿[Na]/FENaは循環血液量と関係なく増加する。
従って尿中[HCO3-]に影響されない尿[Cl-]が有用となる。

クロライド反応性代謝性アルカローシス

尿[Cl-]<20mEq/lをクロライド反応性代謝性アルカローシスと呼び、補液や循環動態の改善でアルカローシスが改善する。
利尿薬投与、高炭酸ガス血症の急速な改善時、非吸収性陰イオンの増加などによる腎や消化管からの体液喪失、外因性アルカリ過剰投与が原因となる

代謝性アルカローシスの治療

アルカローシスの治療は、ほぼ必ず原因疾患の是正に向けて行われます。
・代謝性アルカローシス:水分と電解質の補給

・呼吸性アルカローシス:必要に応じて酸素補給、過換気になっている人を落ち着かせ安心させることが重要です
まれに、単に塩酸などの酸を投与するだけで、アルカローシスを是正できることがあります。まれですが、非常に重度の代謝性アルカローシスの場合、薄めた酸が静脈に投与されます。

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