組織標本は生検や手術臓器、剖検臓器をホルマリン固定後、切り出し作業を行った後に、包埋、薄切、染色といった工程を経て作成されます。
基本的にはHE染色での標本作成が行われ、必要に応じて免疫染色や、PASなどの特殊染色作成指示を病理医より依頼され、病理技師は特殊染色標本などの作製を行いますHE(Hematoxyrin Eosin)染色とは
HE(Hematoxyrin Eosin)染色は病理組織診断には欠かす事のできない最も基本的な染色方法で、細胞核は青紫色、繊維、細胞間質はピンク色に染まります
ヘマトキシリンの色 |
エオジンの色 |
|||
核 軟骨 未脱灰石灰化部 粘液 細菌 |
― ― ― ― ― |
青藍色 藤色 濃青藍色 無色・淡藤色 濃青藍色 |
筋組織 結合織 胞間組織 赤血球 |
淡~紅色 |
HE(Hematoxyrin Eosin)染色手順
HE染色は下記の手順となっていますが、進行性染色液と退行性染色液を用いた場合で異なります2)核染色
・マイヤーのヘマト(そのまま色だし操作)
・カラッチ・ギルのヘマト(分別を行い色だし操作)
3)色だし
4)後染色(エオジン)
5)分別・脱水
6)透徹
7)封入
8)染色性チェック
9)病理組織診断
核染色
核の染色にはHE染色ではヘマトキシリンを用いるヘマトキシリンはヘマトキシロンという樹木よりエーテルで抽出された天然色素で、水に溶けにくくアルコールに溶けやすいという性質を有する。またヘマトキシリン色素のみでは染色能力がないため酸化・媒染といった工程が必要になる。
↓ 酸化
ヘマティン(赤色)
↓ 媒染
ヘマアラウン(紫色)
進行染色
組織切片を染色液に漬けると特定の成分のみが染色される染色法・マイヤーのヘマトキシリン
・リリーマイヤーのヘマトキシリン
退行性染色
組織切片を過剰に染色し、その後余分な色素や不必要に染まった部分を特定の試薬で
分別する染色技法
・カラッチヘマトキシリン
・ギルヘマトキシリン
・ハリスヘマトキシリン
※ハリスのヘマトキシリンは酸化第二水銀を用いるため保管や廃棄の関係上
あまり使用されておりません
後染色
エオジンは蛍光を有する水溶性の赤褐色粉末です。エオジン色素は酸性官能基であるカルボキシル基(‐COONa)を有する酸性色素で水溶液中では負性荷電しています。このため生体成分を反応させた場合、陽性に荷電している細胞質、細胞間質、繊維素などと強く反応します。
1%エオジン溶液をエタノールで希釈して酢酸を加えて使用ますが、調整時に酸を加えすぎると酸性色素がイオン化できなくなり、沈殿を生じてしまうので注意が必要です。
分別する染色技法
・カラッチヘマトキシリン
・ギルヘマトキシリン
・ハリスヘマトキシリン
ヘマトキシリン染色液の組成
|
マイヤー |
カラッチ |
ギル |
ハリス |
酸化剤 |
ヨウ素酸Na |
ヨウ素酸Na |
ヨウ素酸Na |
酸化第二水銀 |
媒染材 |
カリウムミョウバン |
カリウムミョウバン |
硫酸アルミニウム |
カリウムミョウバン |
防腐剤 (酸化防止剤) |
抱水クロラール |
グリセリン |
エチレングリコール |
|
酸性化剤 (PH調整剤) |
クエン酸 |
|
酢酸 |
酢酸 |
その他 |
|
エタノール |
|
エタノール |
あまり使用されておりません
分別
細胞質など本来ヘマトキシリンの染色目的ではない部分を脱色して、核の染色性のみを残す操作を分別という。進行性染色時に行う操作です色だし
HE染色における色だしは核の染色性を鮮やかな青色に変化させる操作です。通常は水や温水を使用しますが炭酸リチウムやアンモニア水を用いる場合があります。後染色
エオジンは蛍光を有する水溶性の赤褐色粉末です。エオジン色素は酸性官能基であるカルボキシル基(‐COONa)を有する酸性色素で水溶液中では負性荷電しています。このため生体成分を反応させた場合、陽性に荷電している細胞質、細胞間質、繊維素などと強く反応します。1%エオジン溶液をエタノールで希釈して酢酸を加えて使用ますが、調整時に酸を加えすぎると酸性色素がイオン化できなくなり、沈殿を生じてしまうので注意が必要です。
0 件のコメント:
コメントを投稿