蓄尿と防腐剤の選択

2017年9月27日水曜日

血液学的検査 生化・免疫学検査 輸血検査

t f B! P L

畜尿を行うことの意義

尿中の濃度をみる際に随時尿を検体として用いた場合その時々の尿が変化するため正確な値を求めることができない。このため24時間尿をためる検査である24時間蓄尿が有用となる。また尿中には塩分や蛋白など様々な物質が存在するため腎機能だけでなく慢性腎臓病の食事療法の指標としても有用である。24時間集めた蓄尿と血液中のクレアチニン濃度から24時間クレアチニンクリアランスを求めて糸球体機能を評価します。

投薬の目安にもなる重要な検査項目です

蓄尿ケトン体を提出する際は身長・体重・尿量を記載する必要があります。
身長体重はカルテより自動的に検査システムに入力されますが、
尿量に関しては検体と一緒に提出することが重要です。
またクレアチニン値は筋量の影響を受けることに注意が必要である。
尿は細菌が繁殖しやすく、尿中成分変性しやすいため項目によっては
防腐剤が必要であるため

蓄尿に関する防腐剤の種類をよく病棟や外来から聞かれると思います

 蓄尿と防腐剤の種類

1) 糖、蛋白、クレアチニン、アルドステロン、遊離コルチゾール:トルエンかキシレン
2) カテコールアミン、VMA、HVA、5-HIAA:塩酸(酸性蓄尿)
3) 尿沈渣(円柱)・尿細胞診:中性ホルマリン
4) 尿中C-ペプチド:アジ化ナトリウム

 蓄尿の防腐剤の要約
Cペプチド
Cペプチド安定化剤
アルカリ性
カテコールアミン
VMA
・メタネフリン
5HIAA
ユリメジャー
酸性

2)の酸性蓄尿では関東化学(http://www.kanto.co.jp/products/rinsyo/chikunyo/tikunyou/yurimeja.html)よりユリメジャーという商品が販売され用いられている。真菌を除く最近の増殖を抑制する防腐剤で汎用自動分析装置での分析に影響のない試薬との事である。

5)C-ペプチド安定化剤

尿中のC-ペプチド(尿中CPR)はインスリン治療の糖尿病患者やインスリノーマ、インス
リン自己免疫症候群等の疾患の診断や治療のモニタリングで測定される。尿中C-ペプチ
ド自体は尿中に排泄されたC-ペプチドはPhの変動や蛋白分解酵素の影響を受けやすいた
め安定した値を得にくいとされ、尿のPhがアルカリだと尿中C-ペプチドは分解されにく
いとされるため防腐剤が必要となる。防腐剤にはアジ化ナトリウムが有効だが毒性が強い
ので、あまり使用されておらずC-ペプチド安定化剤が一般的に用いられる。

畜尿防腐剤の添加タイミング

防腐剤の添加タイミングは種類に関係なく蓄尿開始時に尿量に応じて容器に入れるだけでよいですが、紛らわしいので注意が必要である。また院内で検査を実施していない場合は外部委託先の検査センターに問い合わせれば防腐剤の入手は可能である。

このブログを検索

QooQ