病理組織標本の保管場所の確保に難儀する際の対応

2017年8月28日月曜日

マネージメント 病理・細胞診

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病理検査室において標本の置き場に頭を悩ませている担当者の方は多いと思う。臨床検査技師国家試験のおさらいにもなるがそもそもカルテは5年、輸血の書類に関しては30年と書類などの保管年数が規定されている。病理標本の保管に関して法的な具体的規定は存在しない。そのため標本保管年数が5年であったり施設によっては原則永久保存とする場合もある。その5年と言うのはカルテをもとにしているため細胞診標本に関してはクラス3以上のみを残す施設もあると聞いたことがある。基本的に病理標本と言うのはスライドガラスを思い浮かべるだろう。これも病理組織標本(生検や手術材料)や剖検例に加えて細胞診もこれに含まれる。ガラス標本のみではない。これにパラフィンブロックも増えていくし、さらに依頼書もある。

 ※参照 分子標的治療に必要な免疫組織化学マーカー

疾患

染色項目(マーカー)

分子標的薬剤

肺癌

EGFR/HER-1

ゲフィチニブ

エルロチニブ

乳癌

エストロゲンレセプター(ER)

プロゲストロンレセプター(PGR)

タモキシフェン

HER2

トラスツズマブ

大腸癌

EGFR/HER-1 

K-ras

パニツムマブ

セツキシマブ

CML

Bcl-Abl

ダサチニブ

ニロチニブ

イマチニブ

B細胞リンパ腫

CD20

リツキシマブ

上記表に記載されるように分子標的療法対応項目も年々増加してきており患者治療のために病理組織ブロックの保管は必要である。将来的にはシーケンサーで塩基配列を調べることで治療が決まってくるのであろう。近年では保管状態の良し悪しも精度管理上問われつつある用にも思える。結局のところ5年したらブロックだけ残して必要時に標本を再作製すると言う名目でスライドを捨てれば良いのだろうけど、どちらにしても後々必要になりうるのでブロックはひたすら増えていく。スライドガラスもバーチャルスライドシステムがあれば良いのだろうけど、すべてのスライドを読ませた場合かなりのデータ容量を必要とするためサーバーの確保が大変になる。仮に標本を廃棄するにしても免疫染色標 本は抗体が高く手間もかかるため捨てにくく特殊染色標本も同様である。HE染色のみが対象となったとしても細かすぎる生検標本は捨てにくい。難しい話である。なぜこのような記事を書いたかと個人的な職場の話になりますがそろそろ保管庫の容量オーバーになりそうなのです。標本保管場所の確保のコツは上司や管理課などと上手く連携を保つしかない。冗談みたいな話になりますが、ドラえもんの四次元ポケットがあれば本当に現場は助かるので嬉しいとか思いつつ標本保管場所の確保に苦戦しております。

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