病理検査室におけるホルムアルデヒド、キシレン濃度環境測定

2017年8月6日日曜日

マネージメント 病理・細胞診

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先週は職場の病理検査室の環境測定がありました。ホルマリンやキシレンのみの測定ですが、前回は区分2でしたが今回は無事に区分1と言う結果で安心しております。


病理業務におけるホルムアルデヒド(FA)

ホルマリンは組織の固定に最も多く使われております。固定液はホルムアルデヒド以外にもあるのですが、安価なこともあり検査室で多く用いられます。また鍍銀染色で銀鏡反応を起こすために特殊染色の試薬にも利用されております。


ホルムアルデヒド(FA)の健康に対する影響

ホルムアルデヒド(FA )はシックハウス症候群を引き起こす原因物質の1 つとされており、居住環境にて厳しく規制されています。長期に及ぶ曝露により鼻咽頭癌、胎盤通過性による胎児へ影響(生殖毒)、感作による喘息・アトピ-性皮膚炎・接触性皮膚炎などを引き起こすと言われております。


キシレンの用途

キシレンは有機溶剤の一つで工業的にはプラスチックの原料として用いられてますが病院でも使用しております。病理組織標本作製時においての脱脂やパラフィンブロック作製、脱パラ(パラフィンの溶解)、染色、透徹等に用いており欠かすことの出来ません。



キシレンの健康に対する影響

健康被害を防ぐために作業環境測定が重要です。2011年3月1日より特定化学物質障害予防規則等が改正されました。この改正ではホルムアルデヒド(ホルマリン・FA)について作業環境測定を行うことが義務となりました。その変更の際にホルムアルデヒドは特定化学物質の第3類物質から特定第2類物質へ変更され1)6月以内ごとに1回の作業環境測定、2)測定の記録を30年間保存する、3)6月に1度の定期健康診断を実施する事が必要となりました。翌年の2012年(平成24年)10月より病理標本作製工程では欠かせないキシレンに対する規制強化の情報が厚生労働省から出ております。これにより屋内作業所で「第3管理区分」つまり、気中有害物質濃度が平均管理濃度(キシレンの場合50ppm)を超える状態の作業場での女性(妊娠の有無、年齢にかかわらず)の就業が禁止されました。
作業環境改善の考え方とコツ


発ガン性との因果関係は証明されておりませんがが、頭痛、倦怠感、嘔気、食欲不振等の症状を認めます。


管理区分:ホルムアルデヒド管理濃度は0.1ppm、キシレンの場合50ppm定義されており濃度により区分判定がなされます。
・第1管理区分 管理濃度を超えていない(問題なし)
・第2管理区分 管理濃度を超えていないが改善の余地があり(ちょっとヤバイよ)
・第3管理区分 管理濃度が越えたため改善が必要(ヤバイよ)
上記区分はキシレンでも同じ考え方で判定されます。

具体的対策として1)有害性の少ないFA製品への変更、2)作業方法の改良による発散防止が主に対策すべきポイントです

病理検査室におけるホルムアルデヒド、キシレン濃度環境測定に理解を深めたいなら有機溶剤作業主任者と特定化学物質作業主任者資格取得がオススメです

→リンク:病理業務における特定化学物質作業主任者とは

→ リンク:病理業務における有機溶剤作業主任者とは

興味があるかたは資格取得を試みると良いでしょう



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