CKとCKMBの検査結果解離(逆転)に関して
CK値はCKMMとCKMBとCKBBの総和である。CK活性のほとんどはCKMMの活性値が占めている。CKBM値は心筋梗塞や心筋炎で高値になることが知られているが、溶血検体や臓器損傷の激しい患者検体中のアデニル酸キナーゼ(AK)により負誤差により偽低値を示す。CKMB値は時としてCKとCKMBの比率が解離や、CKMB値がCK値を超す(逆転)することがあると思います。こういう場合マクロCKやミトコンドリアCKの存在が原因であることが多いです。CKMB偽高値の原因急性心筋梗塞以外でも血中にCK-BB、マクロCK、ミトコンドリアCKが存在すると、測定値が以上高値を示す。出現率は3.4%で原因はCK-BB(50.7%)、ミトコンドリアCK(40.6%)、マクロCK(4.3%)と言われ マクロCKはType1とType2に分類されます※マクロCK分類
Type1
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Type2
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サブユニット
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免疫グロブリン結合型
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ミトコンドリア由来
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分子量(kDa)
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240~
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~320
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Km
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1.7
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0.5
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CKMBの分析法とCKとCKMBの比率が解離・CKMB値がCK値を超す(逆転)のメカニズム
まずはCKMBの測定方法のおさらいになりますがCKMBの測定方法は
① 酵素活性測定(免疫阻害法)
② 蛋白定量法
③ 電気泳動法
にて分析される。
① 酵素活性測定(免疫阻害法)は汎用機で測定可能だが原理上CKアノマリーの影響を受ける。
② 蛋白定量法は免疫専用機で測定されるため機器が必要である。
③電気泳動法は全体のアイソザイムパターンを把握できるのだが操作が煩雑で定量性には劣り各方法で長所短所が存在しますが、
この現象は①免疫阻害法を用いた場合におきます。
免疫阻害法では、CKのアイソザイムの一種であるCK-Mを抗体により阻害し、残ったCK-Bで、CK活性を求めます。
この求められた活性値を2倍することでCKMB活性を求めています。
ところがマクロCKやミトコンドリアCKが検体中に多く存在する場合、これらは抗体により阻害されないために、
本来のCKMB活性より高い状態、偽高値を生じてしまいます。
CKとCKMBの検査結果解離(逆転)を見抜くコツ
そもそもCK-MBの見方とは如何すべきでしょうか?CKとCK-MB間のデータの見方を提示します。※ 判別例 (CK-MB/CK比)
骨格筋障害
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AMIなど
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CK-BB
CKアノマリー
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CK-MB/CK比
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<6%
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6-25%
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25%
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“CKアイソザイム測定お願いします”などのコメントを付記して報告するのがベターだと思います。
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マクロCKの証明方法
上記基準を満たしマクロCK、ミトコンドリアCKが疑われたときは如何証明すべきでしょうか?
乖離原因の確認方法として
①反応タイムコースの確認
②熱賦活化試験
③MtCK阻害有/無 試薬での測定
④電気泳動によるアイソザイム解析があります。
②熱賦活化試験は45℃で20分加熱し、残存活性値が50%以下ならCK-BBが疑われます。
③ MtCK阻害有/無 試薬での測定では乖離を認めればMtCKが疑われます。④電気泳動によるアイソザイム解析では泳動パターンによりCK-BB、マクロCK、MtCKの割合を判別できますミトコンドリアCK回避方法※ シグナスオート CK-MB MtO ( 株式会社シノテスト)、L タイプワコー(和光純薬)などが
MtCK阻害抗体を添加し影響を回避している試薬が市販されています。
汎用分析器で免疫阻害法を用いられている方は一度メーカーの営業の方に相談してみましょう。
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