病理組織検体取り違えの要因とその対策

2017年8月14日月曜日

マネージメント 病理・細胞診

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病理組織検査は体の一部を生検ないし手術にて体の組織を採取したものがどういう疾患かを見るための検査です。
生の組織をそのままでは診断できないので、薄く切って、細胞に色を付けてあげる必要があります。このため組織検体採取から病理診断までの大まかには①から⑪の行程があります。
①検体採取
②ホルマリ固定(細胞活動停止)
③パラフィンブロック作成(そのま
④薄切(ミクロトームと言う機械で超薄く斬ります。なんとその厚さ3ミクロン)
⑥スライドガラスに斬った組織を貼り付ける
⑦染色
⑧封入(カバーガラス貼り)
⑨ラベル貼り
⑩診断
⑪報告
一連の多彩な作業の流れになります。組織の形や大きさや固さがが一定でないため生化学検査などと異なり自動化されにくくなっていると言うのが現状です。

病理組織標本作製段階におけるインシデントの種類
①検体採取:起こりうるインシデントとしては患者の取違や検体容器や依頼書の記入ミスですがこれに関しては臨床検査技師は責任はありません
②ホルマリ固定(細胞活動停止):基本的に病理組織標本作製は中性緩衝ホルマリンで固定時間は72時間以内が推奨されます。固定液の量も少なすぎてもダメですし、入れないのは言語道断です。また、遺伝子的検索やフローサイトとかを行う必要がある場合はホルマリン固定は駄目です。生検体を小分けした後に組織を凍結保存しましょう
③パラフィンブロック作成:ブロックのカセット番号の間違えは患者検体取り違えの原因となります。また、パラフィン浸透やブロック作製時のコンタミネーションにも注意が必要です
④薄切→⑥スライドガラスに斬った組織を貼り付ける:スライドガラスへの切片ののせ間違い、スライドへの番号記入間違い、特殊染色標本の作り間違いや作り忘れ
⑦染色:染色項目間違えが特に多くなります。特殊染色のし間違えも注意が必要てすが特に免疫染色では一次抗体の載せ間違いには注意が必要です。形態だけではほとんど載せ間違いの区別はつきません。
⑧封入:カバーガラスのサイズに気を付けましょう。大きすぎるのは問題ありませんが小さすぎるのは駄目です。
⑨ラベル貼り:ラベルの貼りちがいは患者の取り違えの原因となります。とにかく細心の注意を払います。
⑩診断・⑪報告:診断文章の記入ミス、患者の取り違え等かあります


回避方法
①受付の時は診断する病理の先生からすると大変ですが、同じ臓器は連続して受け付けない。また検体提出時の読み合わせも大事です。また切りだし前にホルマリン容器やブロック、依頼書の確認を責任者である技師のかたはダブルチェックを行いましょう。
②薄切時は一人ずつ浮かべてスライドガラスへ拾っていく。決して他組織の切片を同一の場所に浮かべないこと、載せ間違いによる患者取り違えの原因となります
③出来上がった標本にラベルを貼り付けたら標本の組織の形と斬った組織ブロックの形を確認する事が大事です。また出来上がった標本は顕微鏡で確認します。伝票の組織とスライドの組織が一致しているか否か、皮膚や粘膜面の面だし不良の有無や染色液の不良の有無の確認を行います。また必要個数のスライドが揃っているか確認することも重要です。

病理検査は本当に細心の注意を払わないといけないから大変です。

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