直接クームス試験の臨床的意義と検査法と注意点

2017年8月15日火曜日

血液学的検査 輸血検査

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直接クームス試験の依頼が来たのですがやり方を度忘れしておりましたので記事にしてみました。言い訳のようになりますが前に行ったのが二年ぶりだったので完全に頭の中から消えておりました。人間使うことがないと本当に忘れるものですね。でも文章にまとめてみたら思い出すことができました。復習のために書かせていただきます。誰かの役に立つのかな?そもそも直接クームス試験とは直接クームス試験とは赤血球の細胞膜に結合している免疫グロブリン(抗体)が存在しているか否かを調べる検査法の事で自己免疫性溶血性貧血,各種膠原病に伴う溶血性貧血,薬剤(ペニシリン,メチルドーパなど)による溶血性貧血,発作性寒冷血色素尿症,寒冷凝集素症,において陽性となる事で診断の一助となるた
め臨床上有用な検査法の一つである。

① 免疫疫グロブリンが赤血球に結合している場合・・・抗免疫グロブリン抗体を加えると、免疫グロブリンと抗免疫グロブリン抗体が結合し、赤血球は凝集する

② 免疫疫グロブリンが赤血球に結合していない場合・・・抗免疫グロブリン抗体を加えても赤血球は凝集しない

凝集が起きた場合をクームス試験陽性、起きない場合をクームス試験陰性と言う


検査手技(試験管法)
1)被検血球を0.9%塩化ナトリウム液で4回洗浄した後、0.9%塩化ナトリウム液の2%血球浮遊液を調製しその1滴を小試験管にとる
2)クームス血清1滴を加えてよく混和する
3)3,000回転15秒間又は1,000回転1分間遠心沈殿する
4)緩やかに試験管を振って肉眼で凝集の有無を観察する

検査を行う上での注意点として血球の洗浄は十分行うこと。血球の洗浄が不十分であると,血球とは非結合のグロブリンにより抗ヒトグロブリン抗体が中和され偽陰性反応が生じることがある。また洗浄の時は指で試験管の口を押さえて転倒混和しない、また洗浄は中断することなく速やかに行い,洗浄が終われば直ちに抗ヒトグロブリン抗体を加え遠心判定する(洗浄を中断し操作が遅れると血球から抗体が解離し偽陰性を生ずることがある)また検査時のコツとしては直接抗グロブリン試験で補体の検出感度を上げるには,判定後室温に5~10分間放置し再び遠心判定すると良い。
余談だがcoombs試験で用いられる広スペクトル抗血清にはIgGと補体成分に対する抗体が含まれるため、自己抗体がIgG以外の場合や、赤血球表面のIgGが少ない場合にはcoombs 陰性となることがある。またcoombs 陰性AIHAが、AIHAの5% に存在するので注意が必要である。

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